「とにかく人を呼び込みたい!」 静岡県の埋蔵文化財センターの秘策とは?
来場者の減少に悩む静岡県の埋蔵文化財センター。「とにかく人を呼び込みたい!」そんな思いで、あるモノが仕掛けられました。 ●久須美舞記者: 「静岡市清水区の県埋蔵文化センターです。こちらには遺跡から発掘された出土品など普段見られないものがズラリと並んでいます。こちらには聞き慣れた『土偶』が展示されています」 8年前に旧庵原高校跡地に移転した県の埋蔵文化財センター。常設展示のほか、県内の遺跡の発掘調査や出土品の保管などを行っています。 開館している平日と第3土曜日は誰でも無料で見学ができますが、所長には、ある悩みが…。 ●県埋蔵文化財センター 横﨑浩一所長: 「お客さんがまばらな状態というのが寂しいかなと思っていて、2、3日人を見ない時もありまして…」 移転直後の1年間はおよそ7600人の来館者が訪れていましたが、年々減少し、2023年度は3500人ほどに。所長いわく、鉄道の最寄り駅、JR新蒲原駅から歩いて30分と交通の便が悪いことや、展示品の入れ替えが少ないことが影響しているそうです。
それでもなんとか来館者を増やしたい、こうした職員の思いから新たな試みが始まりました。 ●久須美舞記者: 「入口を入ってすぐのところにこのカプセルトイが設置されました。1回500円です。さあ、どれが出るでしょうか」「お。出てきました」「わ~、これは土器ですね。手のひらサイズでかわいいです」 12月下旬に新たに設置されたカプセルトイ。その名も「静岡県埋蔵文化センターオリジナルフィギュアコレクション」です。実際に県内で発掘された土器など、ミニチュアサイズのフィギュア5種類のどれかが入っています。 こだわりの色付けは一つひとつが手作業。よりリアルに再現するため2カ月以上かけて何度も試作を重ねたと言います。 ●県埋蔵文化財センター 横﨑浩一所長: 「網を使ったり、子ども用の歯ブラシをはじいて塗料をかぶせる。これもただ単純に茶色を塗っているわけではなくて、下地は黒っぽいのを塗って、その上に茶色を重ねていくことで深みのある重量感がある土器らしい仕上がりになっている」 さらに、壊れやすい出土品に細心の注意を払い、型取りは3Dプリンターを活用しました。 ●県埋蔵文化財センター 横﨑浩一所長: 「金型に土器とかはめたら、土器が壊れちゃうので、型取るのも難しい」 フィギュアはすべて施設で展示されているもの。付属の説明書を見ながら実物と見比べることもできます。 発案者の横﨑所長は、歴史や遺跡に興味を持つきっかけになればと話します。 ●県埋蔵文化財センター 横﨑浩一所長: 「爆発的に、ここに長蛇の列ができることではなくても、たまたま来た人が喜んでくれるとか、じわじわ浸透してくれればいいなと思う」