【漫画家に聞く】サウナブームと裏腹に減少中の「銭湯」を極道が救う? 異色のラブコメ第一話がXでバズ
サウナの人気とは裏腹に銭湯の数は減少しているという。風情のある日本文化の衰退は悲しいものがある。そんな銭湯を極道が助けるという一風変わったラブコメ漫画が『ヤクザにお風呂で働かされてます。』だ。 サウナブームと裏腹に減少中の「銭湯」を極道が救う? 漫画『私だけに優しいヤクザの話。』 その第1話が『私だけに優しいヤクザの話。』としてXでバズっている。このユニークな世界観はどのようにして生まれたのか、作者・たかし♂(@Takasi00)さんに話を聞いた。(小池直也) ――14万のいいねが集まっていますが、どう捉えていらっしゃいますか? たかし♂:こんなに沢山の方に反応いただいて純粋に嬉しいですし、驚いています。旧TwitterからXになって初投稿だったので使い方もままならず、事故していないかなど色々と心配でドキドキでした。 ――本作の着想について教えてください。 たかし♂:読切で描いた別作品に出てくるヒーローが、実家が銭湯の刺青が入ったキャラだったんです。本作は実家が銭湯という設定を主人公・みや子に、刺青はそのままヒーロー・蛇塚に受け継がせて、そこから肉付けしました。 お話の温度感はゲーム『龍が如く』から影響を受けています。その中にサブクエストでミニ四駆を極めたり、キャバクラを運営したり、昆虫カードバトルをしたりと極道に関係ないコメディなストーリーがあって。蛇塚もそんな雰囲気で、銭湯の復興を手伝っているようなイメージで物語を考えています。 ――制作にあたっての取材や自身の体験が反映されている部分もあるのでしょうか? たかし♂:高円寺にある銭湯・小杉湯さんに取材をさせていただきました。普段はお店の方しか入れないボイラー室の中を見せていただいたり、運営についての貴重なお話も聞けて感謝でした。 漫画にも外観だけでなく、小杉湯さんの温かい雰囲気なども反映できていればいいなと思っています。みや子の美大出身という経歴や社会人経験、周りの友達がみんな結婚していって心がざわついたりは私の実体験ですね(笑)。 ――銭湯など日本のレトロな文化について、ご自身はどう思われているのでしょう? たかし♂:銭湯は昔の面影を残しつつ、今の時代にアップデートされながら残ってほしい日本文化だと思っています。だからこそ先ほどの小杉湯さんでは「新しい銭湯の姿だな」と感銘を受けました。 ――個人的には入れ墨がシャツに透ける表現が色っぽくて素敵でした。 たかし♂:ありがとうございます。刺青のシャツが透ける描写が全然上手く描けなくて、ティッシュに霧吹をかけてできる透け感を参考にしたりと苦労したので嬉しいです。 ――単行本1巻も発売となりましたが、こちらの反響はいかがですか。 たかし♂:普段コメントをいただく機会が少ないので、反響が大変ありがたいです。制作の原動力はやはり読者の方から頂けるコメントに尽きますね。これが私を動かす全てです。 ――今後本作をどう描いていきたいですか? たかし♂:色んな意味でドキドキする作品にしていきたいです。 ――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか? たかし♂:アニメなのですが、『少女革命ウテナ』には画面や演出など影響を受けました。今でもたまに見ています。 また、ひな鳥が初めに見たものを親と思うように初めて読んだ漫画『犬夜叉』と『神風怪盗ジャンヌ』には無意識に影響をうけているだろうと思います。 ――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。 たかし♂:足枷になりそうなので、それはあまり考えていません。最終的に行き着いた場所が私の目指した像なんだと思いたいです。
小池直也