『来世は他人がいい』は“渋イケボ揃い”の名作に 中井和哉の魅力が凝縮された深山萼役
TVアニメ『来世は他人がいい』は、極道ものには珍しく、女性を主人公に据えた作品だ。大阪の指定暴力団総長・染井蓮二の孫娘として生まれた染井吉乃は、目を引く美貌とヤクザの家系という出自から、学校では距離を置かれながらも、静かな日々を送っていた。しかし、祖父が東京の指定暴力団総長・深山萼と手を結んだことで、彼女の運命は大きく動き出す。萼の孫・深山霧島との政略結婚が決まり、吉乃は東京での暮らしを始めることに。だが、その霧島にはさまざまな問題が潜んでいた。 【写真】中井和哉が演じる『ダンダダン』セルポ星人 本作の見どころは、吉乃と彼女に惚れた霧島の駆け引きだが、それ以外にも注目したい点がある。それが、物語を彩るサブキャラの声優陣だ。主人公・染井吉乃を演じる上田瞳、霧島役の石田彰を中心に、遊佐浩二、上田燿司、小西克幸、神谷浩史などベテラン声優陣が集結。普段は声音の明るいキャラクターも、極道の世界ではシリアスなトーンで会話を繰り広げたりと、さまざまな男性声優陣のとにかく渋い声が、危険を孕んだ極道の世界観を要所で見事に表現している。 つまり端的にいえば、本作は圧倒的な“イケボ揃い”の極道作品なのである。実際にクレジットを見て、その豪華さに驚いた視聴者も少なくないだろう。 特筆すべきは、霧島の大伯父である深山萼のキャスティングだ。萼は、関東最大の指定暴力団「砥草会」直系「深山一家」総長。組のボスに当たる重要な役を演じるのは、中井和哉だ。第1話冒頭で「やっぱり蓮二に似てんなぁ。言われねえか?」と感じよく吉乃に語りかける萼の姿には、思わず吉乃も心を揺さぶられるような渋い魅力が漂う。 剣豪キャラのイメージが強い中井和哉だが、本人も「お祖父さんと呼ばれかねない役、初めてかもしれません。嬉しいです」(※1)とコメントするように、本作では魅力的な“イケおじ”を好演している。 若かりし頃は現在の霧島によく似ていたという萼は、今なお凛とした雰囲気を纏う人物として描かれる。萼にとって、吉乃の祖父である染井蓮二は数少ない親友の一人だ。第11話では、染井家の墓参りを終えた後、霧島は染井組に招かれ、バーベキューを囲みながら若き日の萼の話に花が咲くとのこと。和やかな時を過ごす中で、萼の過去についても、新たな一面が明かされるかもしれない。