“真の「4G」”到来まであと数年──「LTE」と何が違うのか?
“真の「4G」”は2016年度に正式サービス開始か
「LTE」が“仮の「4G」”だとすれば、2016年度に各社が正式サービスをスタートする見込みの「4G」は“真の「4G」”といえるでしょう。こちらの特徴は、なんといっても伝送レートの向上で、現在使われている「LTE」の約10倍に匹敵するほどです。 実際、ソフトバンクモバイルがメディアおよび関係者向けとして1月24日に行った「LTE-Advanced」の公開実証実験では、東京・銀座を走行するバスの中で下り500Mbps以上、停車時には700Mbps以上を記録。この構成では、理論値で下り最大1Gbps(1000Mbps)程度にまで達します。現在の「LTE」が下り最大75Mbps、一部の地域と端末でも最大112.5Mbpsなのでその差は歴然です。なお、1Gbpsという数値は1秒あたり1Gbit、つまり0.125GBのデータ転送が可能なことを意味します。DVDディスクの容量が片面1層で4.7GBですから、同量のデータをわずか37.6秒でダウンロードできる計算になるわけです。
各社によって進められる技術改善
また、技術面でのさらなる改善も行われています。たとえばKDDIでは、周波数利用効率を向上する無線伝送技術「Advanced MIMO」の実験を進めています。「MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)」とは、基地局と端末の双方で複数のアンテナを組み合わせ、周波数を有効利用する技術のことです。アンテナ数が増えると干渉も起きやすくなりますが、Advanced MIMOではこの干渉を減らすと同時に、LTEの約3倍まで周波数利用効率の向上が図れます。 一方、NTTドコモが実験を行っている「Smart Vertical MIMO」は、少ない基地局アンテナ数で1Gbps以上の最大伝送レートを確保するものです。これまで1Gbps以上の速度を実現するには、アンテナ4本相当のMIMO伝送が必要でしたが、アンテナ数の増加による設置場所の確保やコスト増加が課題でした。しかし、Smart Vertical MIMOではアンテナ1本でアンテナ4本相当のMIMO伝送が可能なため、省スペースかつ省コストでエリアを構築できます。