米ナスダックで日本企業が存在感、中国企業は減少…スピード上場可能「ITに理解深い」
【ニューヨーク=小林泰裕】世界最大級の株式市場でIT企業の銘柄が多い米ナスダック市場で、日本の新興企業がじわりと存在感を高めている。米中対立の激化で、上場数が減少する中国企業にかわる存在として期待されているためだ。日本勢にとってもスピード上場が可能で多額の資金を調達しやすいメリットがあり、上場は今後も増える可能性がある。
幹部が歓迎
今月20日、ナスダックのオフィスで日本企業を集めた初の投資家向け説明会が開かれ、ナスダック上場の日本勢4社と米国の投資家ら100人以上が参加した。ナスダック幹部のジョセフ・ブランタック氏も来場し、「日本企業の上場を歓迎したい」と話した。
説明会では、健康管理サービス施設「リラク」を展開するメディロムが、米国での販売開始を近く予定する健康管理端末を紹介した。ブロックチェーンの高速取引システムを手がけるアーリーワークスも自社技術を説明した。
アーリーワークスの小林聖最高経営責任者(CEO)は「米国にはITに理解の深い投資家が多い。今日も多くの投資家が興味を示してくれた」と、手応えを感じた様子だった。ニューヨークの投資会社で働くデーナ・ブルーノ氏は「今日のような説明会を重ねることで、日本企業の認知度も上がるはずだ」と話した。
米中対立が影響
米メディアによると、中国企業のナスダック上場は2021年に74社に上ったが、米中対立の激化の影響で23年10月時点で25社に減少した。今後も中国企業の上場機運が高まる見込みが少ない中、日本企業への注目が高まる。
ナスダック上場の日本企業は現在、メディロムや、くら寿司の米国法人など10社。このうち6社が23年に上場したばかりだ。「湘南美容クリニック」の運営会社など今後も数社が上場を計画している。
ナスダック市場の特徴も日本企業を引き寄せる。日本では上場準備開始後3年程度で上場するのが一般的だが、ナスダックでは半年で上場が認められることもある。世界中から投資家が集まるため、多額の資金調達も可能だ。
一方、株価が一定期間1ドルを割り込むと上場廃止になるという、東京証券取引所にはない決まりもある。上場した日本企業からは「ナスダックの投資家の方が日本よりドライでシビアだ」との声も上がっている。