5発でプリンス関東2部無敗首位をキープ。山梨学院は隙をなくし、プレミア勢とも互角に戦えるチームへ
[6.22 プリンスリーグ関東2部第7節 前橋商高 1-5 山梨学院高 前橋商高G(MAESHO FOOTBALL PARK)] 【写真】お相手がJ1選手だったと話題に…元アイドルの女優が2ショットで結婚報告 後半4発の山梨学院が無敗首位をキープ。22日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関東第7節1日目が行われ、群馬県前橋市の前橋商高グラウンド(MAESHO FOOTBALL PARK)で首位の山梨学院高(山梨)と10位・前橋商高(群馬)が対戦。山梨学院が5-1で勝った。 山梨学院はこの試合前まで4勝2分。セカンドチームが戦った関東大会県予選こそ優勝を逃したものの、トップチームが戦った県新人戦とインターハイ県予選で優勝しており、彼らは公式戦での敗戦がない。この日はPKを2本与えるなど、岩永将監督が「日頃ほどの強度と集中力でできなかったんじゃないかなと。(先週、インターハイで)全国大会決めて、ちょっと心の中に安心感もあるし、ちょっとした隙はあったのかなっていう風に思います」と指摘する内容。それでも、後半に破壊力を示すなど5ゴールで快勝した。 ホームの前橋商は、昇格組の公立校。ここまで開幕6連敗と苦しんでいるものの、開幕3試合での16失点から「(スピード感、強度に)慣れてきて、しっかり動かすところと意図的に(プレッシングに)来ているからあのスペースを狙おう、というような判断までは行けているかなと思います」(笠原恵太監督)。修正を施しながら、チーム力を向上させてきている。この日が新ユニフォーム初戦だった前橋商は開始直後、182cmFW井上泰(3年)が右中間へ抜け出し、ファーストチャンス。だが、これを山梨学院GK板倉一心(2年)の好守に阻まれると、直後に先制点を奪われた。 山梨学院は2分、MF山田逞人主将(3年)が右中間からドリブルでPAへ割って入り、相手GK、DFを引き付けてラストパス。これを10番MF関口翔吾(3年)が「最近、結構シュートを練習している。逞人が突破してくれて、自分はマイナス気味に余ってという形で決めれた」と左足ダイレクトで決めた。 先制した山梨学院はセカンドボール、際の攻防で相手を上回り、簡単にはボールを失わない。そして、「自分はリズムを変えられる選手になりたい。前向いてボール持った時を一番見て欲しい」という関口がDF間に顔を出してボールを受けると、前を向いてドリブル、スルーパス。また、山田が積極的にグラウンダーの縦パスを入れるなどアタックし、果敢に攻め上がる左SB小柳堅也(3年)のクロスやMF阿部海翔(3年)のシュートで相手にプレッシャーをかける。 17分には、FW朝倉総(2年)が強靭なフィジカルを活かす形でDFの前へ出て、決定的な右足シュートを放つ。だが、前橋商はこれをGK蜂巣煌英(2年)がストップ。その後も、相手MF速水仁(3年)や関口に至近距離からのシュートに持ち込まれていたが、DF陣が最後まで食らいついていたこともあって守護神が好セーブを続ける。 noyahoobody>守備面での貢献度を高く評価されている山梨学院の2年生MF高見啓太 前橋商は狙いを持った攻撃でチャンスも作り出していた。DFラインでパスを繋ぎ、GK蜂巣が前線へロングフィード。この日空中戦での抜群の強さやキープ力で存在感を放ったFW井上が再三競り勝って見せる。井上は右SH櫻井聖那主将(3年)や俊足FW清水一真(2年)との連係も良好。前半終盤は、前橋商がCB新井大樹(3年)らDFラインやGKで相手のプレッシングを攻略する回数を増やす。そして、持ち味の連動したパスワークなどからチャンスを連発した。 だが、井上とのコンビから櫻井の放った決定的なシュートが山梨学院GK板倉にかき出され、ポジショニング良く仕掛けへ持ち込んでいた初先発MF吉田祥大(2年)のシュートも相手DFにブロックされてしまう。 山梨学院は後半開始からFWオノボフランシス日華(2年)とMF細田康貴(2年)を同時投入。右SB星野雄大(3年)のクロスやオノボのロングスローで相手に圧力をかける。だが、前橋商はGK蜂巣のファインセーブなどで1点差を維持すると、8分に右FKの競り合いで井上がPKを獲得する。このPKを井上が自ら狙うが、山梨学院GK板倉が読み切ってストップ。すると、直後の攻撃でオノボがPAでDF2人をかわして右足シュートを叩き込んだ。 山梨学院は14分にもオノボがクロスバー直撃の右足シュート。苦しい展開となった前橋商だが、相手を見ながら長短のパスを繋ぐチャレンジを継続する。18分には、清水とのワンツーからPAへ潜り込んだ櫻井がPKを獲得。これを左SB廣田凌星(3年)が左足で決めて1点差とした。 山梨学院はこの日2つめのPK献上。岩永監督は「今、(島垣亮吾)ヘッドコーチも凄く『隙なくやれ、隙なくやれ』っていうところで、練習でもかなり求めているし、もっと自分たちのやっていることに満足せずに上を目指すっていうことは大事かなと思います。(守備面では)もっともっと連動して相手コートから出さないぐらいやりたい」と指摘する。 前橋商は首位相手に渡り合い、ホームの試合会場を盛り上げる。だが、山梨学院は終盤、再びギアを上げて相手を飲み込んだ。コンディション面を考慮されてベンチスタートだったFW関塚力登(3年)を前線へ送り出し、プリンスリーグ関東2部6戦連発中の関塚とオノボの高速2トップが前橋商ゴールに襲いかかる。 30分には、スルーパスで抜け出したオノボがDF1人を外して左足で貴重な追加点。また、コーチ陣が「守備のところで欠かせない」と声を揃えるMF高見啓太(2年)がセカンドボールの回収やインターセプトで存在感を放った。加えて、DFリーダーのCB志村晃(3年)や後半に競り勝つ回数を増やしたCB鈴木晶太(3年)が相手の前進を阻止する。 そして、41分、右サイドから中央まで持ち込んだオノボがシュート。その後の混戦から関塚が抜け出し、右足で7試合連続となるゴールを決めた。山梨学院は45+2分にも関塚が個の力でDFを切り裂き、左足で2点目のゴール。5-1で快勝した。 山梨学院は1月のNEW BALANCE CUP(通称・裏選手権)7試合で24得点を叩き出して優勝。岩永監督は、「『プリンス1部とかプレミアリーグのチームとやっても互角になれるように作っていこう』っていうのはヘッドコーチも言ってくれてるんで、選手もそこは意識していると思います」。改善を重ねてより隙をなくし、上位カテゴリーのチームを上回るような力を身につける。 インターハイまであと1か月ほど。関口は「今年はまずインターハイで優勝して選手権に繋げたい。自分としては毎試合ゴールに絡んでいきたい」と意気込み、関塚は「みんな日本一目指してるし、自信はあります」と語った。“公式戦無敗”の山梨王者が、2018年度以来の夏の日本一に挑戦する。