移住農家が育てたホウレンソウの袋詰め、障害者通所施設に委託 玖珠町で農福連携の新たな取り組み
大分県玖珠町に移住して就農した若手農家が育てたホウレンソウの袋詰め作業を、障害者が活動する町内のNPO法人が請け負う取り組みが始まった。町などが仲立ちとなってつなぎ、「農福連携の新しいモデルケースになる」として後押ししている。 北九州市出身で6月に移住した岩村莉玖さん(25)が少量多品目の農業を営む原農園(町内小田)で野菜の栽培を始め、10月からは知人で同市出身の川合誠大(せいだい)さん(26)も加わった。2人は「コロナ禍で農業や食糧自給率、食の安全を考えるようになった。良い場所を探していて、玖珠にたどり着いた」という。 冬野菜のホウレンソウの収穫が始まり、町の紹介で障害者の活動や社会参加を支援するNPO法人「地域活動支援センター玖珠むつみ会」(町内帆足)に袋詰めを委託することに。 同法人は生産・創作活動やスポーツ、イベントなどを通じて障害者の居場所づくりを進める通所施設で、就労は活動の主体ではない。それでもトマトのパック詰め作業などを請け負っており、「活動の種類が増えるのはありがたい。利用者が体調に合わせ、楽しみながら作業をしてもらえたら」と快諾した。 11月下旬に2人が同法人を訪れ、利用者にやり方を説明。2人は「最初から丁寧に作業をしてくれていた。安心して任せられた」と話す。 今回の取り組みは町の農林課に寄せられた情報を基に、福祉保険課と町社会福祉協議会による「福祉の地域づくり参加支援」事業に結び付けて実現した。 福祉保険課は「出荷作業まで手が回らない若手農家と、利用者向けの軽作業を求める福祉施設のニーズがかみ合った。農福連携の新しい事例になれば」と期待している。