「踏んだり蹴ったり」浦和レッズは堅守だった昨季から何が変わったのか? 安定しないプレッシングの設計図【戦術分析コラム】
●全員が上手くならないとどうしようもない道を選んだ浦和レッズ
サンフレッチェ広島の大橋祐紀が欧州に渡ったことは多くのチームに衝撃を与えたに違いない。大卒の選手は年齢の問題によって、海外から声がかかりにくいと言われていたが、今は昔である。この環境下でJリーグのチームがどのようにシーズンを過ごしていくかは難題であり、目の前の結果よりも長い目で見た理念が試されているような気がしている。 マチェイ・スコルジャ時代から守備の文化は少し消えている一方で、丁寧なビルドアップは継続して取り組んでいる。ボールを保持するサッカーの利点は、修正点がわかりやすいことだろう。相手のミスを願ったり、こぼれ球がマイボールになることを祈ったり、個人技が炸裂することを期待したりするようなサッカーでは、反省がどうしても難しくなる。ときには気持ちが足りなかったという反省にたどり着いてしまうかもしれない。もちろん、気持ちは大事だけれども。 ボールを保持するサッカーの場合は、平たく言うと、自分たちが下手だから負けたという反省が容易だ。うまくなるためにはもっとどうしたらよいか? この試合でどのように振る舞うべきだったか? というチャレンジを選手、チームが続けることは、サッカー選手として上を目指すうえでは大切なことだろう。グスタフソンを筆頭とする目の前にぐうの音も出ないほどのお手本がいることも大きい。一部の選手ではなく、全員が上手くならないとどうしようもない道を選んだ浦和の姿勢が吉と出ることを心から祈っている。 (文:らいかーると)
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