【宝石のように輝くイタリアの虫】スタンゲリーニに魅せられ約30年!その魅力をオーナー氏に訊く
30年以上前にミッレ・ミリアでスタンゲリーニに感動
先日5年ぶりに開催されたバルケッタ・ミーティングは、『Club della Barchetta』が主催しているイベントだ。 【写真】福田さんが代表を務めるクラブ主催イベント『バルケッタ・ミーティング』! (94枚) クラブ代表の福田泰仁さんに、バルケッタやミーティングについての卓見を伺うことができたのでお伝えしよう。まずは、出会いと魅力についてから。 「僕が初めてミッレ・ミリアを観たのは30年以上前のことでした。それまでの約20年間はもっぱら英国車党でしたが、フェラーリ328の最終モデルを購入する機会に恵まれ、イタリア車の甘い香りに魅了されました。そこでこのようなクルマを造る国への興味が湧き、マラネロでフェラーリの工場を見学。その後にミッレ・ミリアの観戦にも向かいました。 そこで見た小さいながらも宝石のように輝き、エンブレムを見ても知らない名前のいわゆる『イタリアの虫』たちに感化されました。そして、ちっこいのにすばしっこく走る『スタンゲリーニ750S』を発見してから、ミッレ・ミリアでの追っかけがスタートしました。後に、そのスタンゲリーニ750Sそのものがニュルブルクリンクでのブルックス・オークションで出品されているのを見つけ、落札して日本に送ってもらうことができました。 実際に走ってみて、馬力は無いのにあれだけ山中をクルクル疾走できるのは400kgという軽い車重が要因で、理由のすべてであることがよくわかりました。そして、エンジンの魔術師と言われたヴィットリオの造り上げた750ビアルベロで、一気に1万回転に届くエンジンの性能にも酔いしれました」
雨天時にバイク並みにハードなドライブが要求される
続いて伺ったのはバルケッタの立ち位置で、過去、現在について話してもらった。 「バルケッタとはイタリア語で小舟という意味で、基本的に屋根どころか幌の装備もない小さなオープンカーのことを指します。チューニングされ、よく回るエンジンと、軽量で小さい車体を武器に、戦後間もないミッレ・ミリアなどの公道スピードレースで活躍しました。 しかし、近年の長丁場の公道ラリーでは、対候性の乏しさから厳しいものがあります。そのため実施にミッレ・ミリアなどでも、雨天時にバイク並みにハードなドライブが要求されるバルケッタでの出場は激減しています。また、その希少性から価格が高騰しているのも事実です」 そのように話してくれた福田さんは、普段ムゼオに展示されている750ビアルベロを借り、ヴィットリオ・スタンゲリーニの孫娘であるフランチェスカさんをナビとしてGPヌヴォラーリ2001に出場した後、ジルコ・スタンゲリーニを購入。通い始めたスタンゲリーニでレストア中だったFJが完成した際に増車し、スタンゲリーニ・アラドーロでミッレ・ミリア2002、モナコ・ヒストリーが有るFJをさらに買い足してモンツァ・サーキットでのトロフェオ・ルラーニに参戦。ここでのポイント獲得によってモナコ・ヒストリックGP2004の出場権を得たのだという。 ヨーロッパでのレースをすべてスタンゲリーニで参戦してきた福田さんは、『スクアドラ・スタンゲリーニ・ジャッポーネ』の名称を使用することを認めてもらっている。