【朝ラーメン】500円で食べられることが信じられない、至高の朝ラーメン:パリッコ『今週のハマりメシ』第145回
やがて朝ラーメンも到着。やはりベースは、前回食べた煮干しそばと同様のようだ。朝ラーメンという響きと500円という値段の前情報から、もっと素っ気ない"素ラーメン"っぽいものを想像してしまっていたが、いやいやとんでもない。中央に巨大なあぶりチャーシューまでのっている! さっそくスープをひと口。......あぁ......これだこれ。淡麗なんだけどほどよい油感もあり、しつこすぎず控えめすぎない煮干しの風味。その土台となるのは、きっと鶏だしだろう。クリアなスープのなかになぜこれほど? というくらい深い旨味が飽和している。上品でいながら、尋常じゃない満足感。やっぱりすごい。すごすぎるラーメンだ、これ。 美しく折りたたまれた麺はほんのり硬め。すするとぷりぷりぱつぱつと口のなかで弾け、ふくよかな小麦の香りを広げる。玉ねぎと長ねぎ、2種のねぎの食感や甘みも最大限に効果的で、そこに加わるかいわれのフレッシュさが嬉しい。 そして、丼上ですさまじい存在感を発するチャーシュー。おずおずと持ち上げるとそれだけでとろけてしまうような柔らかさだ。口に運べば、極上のスープをまとった豚の旨味と、あぶられた表面の香ばしさが、もはや語彙力を失うほどの幸福感を運んでくれる。 うまいうまい! うまいうまい! いや、え? うまいなこのラーメン! と飽きずに心のなかで叫びつつ無心ですすっていたら、あっという間に残りがわずかになってしまっていた。そこで、しまった! 卓上にいろいろある調味料をぜんぜん使ってなかった。と気づき、せっかくなので「揚げニンニク」を加えてみる。 すると、これまた当然うまい。けれどもあらためて、最初に届いた基本の状態のバランスの良さにも気づかされるのだった。もしかしたら味変は、つけ麺やまぜそばにより効果的で、この朝ラーに関しては、目の前に届いた状態が究極形なのかもしれない。 血圧関係の心配もあり、ふだんラーメンのスープを飲み干すことなどないんだけど、この一杯に関しては、完飲不可避だった。最後の一滴まで堪能し、ごちそうさまでした。今またその味を思い返しつつ、500円でこのラーメンが食べられるって、ちょっと普通じゃないなと思うのだった。また、確かめに行かないと。 取材・文・撮影/パリッコ
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