火星の「謎の穴」の話題が再燃…地球外生命体がいる?宇宙飛行士の住居になる?(海外)
「火星の穴」については、以前から科学者たちは把握していたが、2022年に撮影された画像が最近話題になり、人々の関心を集めている。 【全画像をみる】火星の「謎の穴」の話題が再燃…地球外生命体がいる?宇宙飛行士の住居になる? もしかしたらこうした穴で、地球外生命体の証拠が見つかるかもしれない。また、将来の宇宙飛行士たちの避難所になる可能性もある。 だが、これらの穴がどれくらいの深さがあるのか、どこにつながっているのか、などについては、まだ多くの謎が残されている。 聞いたことのない人のために言っておくと、火星には穴がある。正確に言えば、複数の穴だ。「ピット」や「ホール」と呼ばれるこうした穴は、新発見というわけではない。たとえば、穴が映っている以下の写真は、2007年に撮影されたものだ。 だが最近になって、興味をそそるこの地形をめぐる議論が再燃した。2022年に、火星軌道上の高解像度撮像装置「HiRISE」(The High-Resolution Imaging Science Experiment)で撮影されたある写真が、アリゾナ大学のHiRISEサイトで「今日の1枚」として紹介されたからだ(記事冒頭の写真)。 これらの穴をめぐっては、さまざまな議論が行われており、どれも議論にふさわしい。というのも、いまだ大部分が謎に包まれている上に、未来の科学ミッションにとって有望な点もたくさんあるからだ。
火星の「謎めいた穴」の正体は何なのか
こうした穴は、火星のタルシス地域の古い火山の側面にある。タルシス地域は、火星最大の火山地域であり、太陽系最大級の火山のいくつかがここにある。 科学者が理解しているかぎりでは、火星はもはや火山活動をしていない。そのため、これらの巨大火山が噴火するリスクはない。だが、火山が残した地下の溶岩洞が、いまも存在している可能性はある。 太陽系全体の衝突クレーターを研究しているパデュー大学の地球物理学者ブランドン・ジョンソン(Brandon Johnson)がBusiness Insiderに話したところによれば、科学者のあいだでは、こうした火星の穴は「天窓」のようなものだと考えられているという。つまり、溶岩洞の上の地面が一部陥没し、表面にぽっかり穴が開いたというわけだ。 そうした溶岩洞が、地球にある溶岩洞と似ているのなら、火星に滞在する宇宙飛行士たちが潜りこむのにぴったりの場所になるかもしれない。 「火星には、こうした穴が複数あることが観測されている」とジョンソンは言う。 「この穴が大きな興味をそそる理由は、宇宙飛行士が入りこんで、放射線から身を守れる場所になるかもしれないことにある」 とはいえ、穴がどれくらい深いのか、どこへつながっているのかは不明だ。それについては、地球を含む他の惑星で見られる同様のものから推測するしかない。 SETI研究所の惑星科学者ロス・ベイヤー(Ross Beyer)はBusiness Insiderに宛てたメールで、「地球のこうした溶岩洞は、歩きまわれるほどの広さがあるが、規模が小さいものもあり、空間が分離されていたり、途切れていたりするものもある」と説明した。 「なので、(火星で)観測された穴は、もっと大きな洞窟への入口かもしれないし、隔絶した穴にすぎないかもしれない」 そしてベイヤーは「もっと詳しく探索してみるまでは、穴の中がどうなっているかを知るすべはない」と付け加えた。 火星の有人ミッションが近いうちに実現するか否かはさておき、こうした穴を詳しく探索すべき理由は他にもあり、その理由はかなり重要なものだ。