上白石萌歌さん『リア王』で3年ぶりに舞台に挑戦…「私はとにかく舞台が大好きなんです!」特別インタビュー|CLASSY.
――今回演じるコーディリアという役をどのようにとらえていらっしゃいますか? 一見、優等生にも見えますが、それは誰よりも誠実で嘘がつけないからだと思うんです。父に愛を語ればいいのに、自分の正義感がそうさせません。素直だけどこうと決めたら頑なに意志を曲げない強さを持っている人だと思います。 ――コーディリアは上白石さんのイメージとも重なるのですが、ご自分では共感できるところはありますか? 嬉しいです! 私も何か物事を始めるときに、ちょっとしたことですが「毎週必ずやろう」とか「最後まで絶対にやろう」と決めた信念は曲げないタイプです。でも頑固にはなりたくないので、柔軟な対応力は持っていたいと思っています。
――主演の段田さんをはじめ、小池徹平さん、江口のりこさん、高橋克実さん、浅野和之さんなど錚々たる先輩方がキャストに並んでいますが、カンパニーの雰囲気はいかがですか? 再共演の方が多いのでとても心強いのですが、顔合わせや本格的なお稽古はまだ始まっていません。今はプレ稽古の段階で、来日されている演出家のショーン・ホームズさんたちとワークショップをしています。海外の演出家さんとご一緒するのは初めてなのですが、稽古場の雰囲気が温かいので嬉しいです。日本ではいわゆる“ダメ出し”になるところを、ショーンさんだと「今の君のお芝居はとてもいいね! さらにこうするともっとよくなると思うよ!」と言ってくださいます。私を肯定したうえで次に進む方法を提案してくださるのはとてもやりやすいですし、演出家と役者が対等でいられるのは新しい感覚です。 ――今回の演出家のショーン・ホームズさんの作品は過去に何度もご覧になっているそうですね。 日本で上演したショーンさんの作品はすべて拝見していますが、伝統的な戯曲の中に斬新な現代の風を吹かせるところに魅力を感じます。なかでも印象に残っているのが今回共演させていただく段田安則さん主演の『セールスマンの死』なのですが、舞台上に黄色い冷蔵庫が1つ置かれていたんです。最後に段田さんが冷蔵庫の中に入っていくのですが…。「あの冷蔵庫は何?」と、想像力をかきたてられました。私は「冷蔵庫は棺桶を意味していたのではないか」と思ったのですが、モチーフの意味を考えたり推理するのがとても面白かったんです。今回も戯曲の大筋は変わらないと思いますが、ショーンさんらしい新しい見せ方をしてくれて、今までにない『リア王』が生まれると思っています。