日本開催UFCで日本人は4勝3敗!
個人的には、世界のTKこと高阪剛がセコンドにつき、三日月蹴りで有名な菊野克紀(33)に注目していたが、試合開始直後に豪快な右フック一発で沈んでしまった。 バンタム級でトップを狙える素材、水垣の相手は、手足が長く距離の取り合いに苦労するかと思われたが、巧みなボディワークでケージを背負うリスクのあるポジションを避けながら、僅差の判定勝利。ジョージ・ループを不完全燃焼させた水垣は、試合後、ケージの中で号泣した。 「クルーズに負けて、もうこの世界ではやれないと思った。もう、これが最後のつもりで戦った。可能性がゼロになるまで全力で戦います」 昨年9月の「UFC 178」で、元UFCバンタム級王者のドミニク・クルーズに、わずか60秒でKO負けを喫していた。崖っぷち抜け出した安堵の涙である。 最もUFCチャンピオンに近い男と呼ばれる堀口は、流れるような軽快なスタイルでUFC7戦の経験を持つ30歳、チコ・ケイミュスを圧倒した。堀口は典型的なストライカーだが、「あの動きで下に注意させれば、打撃に集中しやすくなるから」と、タックルも仕掛けながら、戦いの幅が広くなったニュー堀口を再起戦でアピールした。 UFC4連勝の勢いで、昨年4月、UFC世界フライ級王者のデメトリアス・ジョンソンに挑戦したが、試合終了まで残り1秒でアームバーにつかまりタップして1本負け。ベルトを逃した。5日にラスベガスで防衛戦を行う、その王者ジョンソンは、リングサイドで堀口の戦いをじっと視察していた。 「ほっとした。KOできなかったのはちょっと悔しいけれど早くベルトを巻きたい」 堀口の貫禄の勝利で、結局、日本人ファイターは、この日、4勝3敗と辛くも勝ち越しを決めた。 メインのバーネットvsネルソンよりも、PRIDEなどで活躍していたケガール・ムサシが、代役出場となったユライア・ホールの後ろ回し蹴りと、跳び膝蹴りでKOされるというアップセットの起きたバウトが面白かったが、大会終了後、バーネットは「イベントとしては成功したと思う。UFCは今後も日本の格闘技に影響を与えるだろう」とコメントした。知名度の高い山本KID徳郁の試合が怪我が流れたにもかかわらず、動員に大きな影響はでず、UFC国際戦略部のジョー・カー、シニアバイスプレジデントは、「日本は、アジアの中で一番のマーケット。来年も計画を立てて、ここに戻ってきたい」と、来年も「UFC」の日本開催を引き続き行うことを宣言した。 軽量級のスピードとテクニック、重量級の格闘技の迫力を、エンターテイメントとしてうまくミックスさせながら競技性を高めて進化を遂げていくUFC。だが、日本の格闘技最盛期のころに比べると、早朝から1万人が集まったとはいえ、熱狂とまではいかず、メディアの数もずいぶんと少なかった。年末に向けて新格闘イベントなどが計画されているらしいが、女子を取り込み、V字回復を果たしているプロレス界に比べると、まだまだ冬の時代を脱していない。 格闘界のメジャーリーグ「UFC」に日本人のスターが誕生して、逆輸入されてくれば、それが起爆剤になるかもしれないが、そのためには、まずはハードルが高いUFCの日本人チャンピオンの誕生が待たれる。