着飾るべき? ジーンズは? 歌舞伎の「正しいドレスコード」に疑問
■ 広報担当者いわく「特にドレスコードはありません」
さてこの結果に対して、多分誰もよりも歌舞伎を見に来る人たちの服装を眺める機会が多いと思われる「南座」の広報担当者にも聞いてみた。まず「南座には、特にドレスコードはありません」という前置きがあったうえで、「まさにその通りの結果だと思います。小ぎれいなファッションが多いということですが、実際に素敵なお召し物でご準備から移動、観劇体験まですべてをお楽しみいただいているお客さまが多いのかな? と思います」との感想が。 ちなみに広報担当者に、おすすめの服装はありますか? と聞くと「お好きなお召し物でお越しいただいて構いません。観劇は準備や移動も含めると1日がかりのイベントになるかと思いますので、1日を楽しくお過ごしいただけるような、気分が上がる服装をしていただけたらよいかと思います」とのご意見。「せっかくの祝祭空間だから」とオシャレをしても、長時間椅子に座っても苦にならないことを優先した服装にしても、本人が楽しい(楽とも言う)ならOK! ということだろう。
■ 「NGファッション」も尋ねてみた
ちなみにNGのファッションはありますか? という質問には、「あえて言うなら、ご観劇中は帽子を取っていただきたいということでしょうか」とのこと。たしかに帽子のつばとか上部のもっこりした部分は、思った以上に後ろの人の観劇のさまたげになるので、脱帽を心がけたいもの。ちなみに歌舞伎を含めた観劇ファンの間では「頭頂部に盛った髪型」「動くとシャカシャカ音がする素材の服」も避けている人が多いので、ご参考に。 ただ、先ほど記した私の数少ない友人たちからの意見では、「興行や席種によってファッションを変える」というのが結構一致していたのが興味深かった。いわく、1階席で古典歌舞伎を観るときはきれい目の格好をするけど、2・3階席や新作歌舞伎のときは普段着と使い分けるそうだ。そういえば私も今回の顔見世では、ブランド物のスカーフとかとっておきのジュエリーを引っ張り出して、いつもよりドレスアップ感を出したりしていたしな。 つまり歌舞伎公演というのは、非日常的なぐらいのドレスアップ(演目によってはコスプレの人も)からまったくの普段着まで、あらゆるレベルのファッションをすべて受け入れる稀有な空間だということが、今回調べてみて改めて思った。日本中を探しても、これほどいろんな年代の、いろんなレベルのファッションが同一空間に存在するような場所は、そんなにないんじゃないだろうか? だから誰がどんな服装で行ったって、きっとウェルカムってことですよ! ・・・とは言っても、やっぱり不安はぬぐえない人もいるだろうから、広報担当者に「初めての人がジーンズ&スニーカーで行っても大丈夫ですよ! って公演は、南座にもありますか?」と聞いてみたところ、2つの公演をオススメしてくれた。