農村風景維持へ「懸メェ~」に除草活動 豊後高田市田染小崎地区にヤギ5頭放牧 高齢化や担い手不足…「地域の人気者に」
農村風景が国の重要文化的景観に選定されている大分県豊後高田市田染小崎地区で、農地の除草を目的にヤギを放牧している。生後4、5カ月から1年ほどの雄2頭と雌3頭の計5頭。地区の住民らでつくる「荘園の里推進委員会」(河野一三委員長)が9月から飼い始め、景観維持に役立てている。 ヤギは同市と大分市の業者から譲り受けるなどした。放牧地は2000年代にウメやモモの木を植樹して栽培したが、高齢化や所有者の死去で約10年前から管理が行き届かなくなっていた荒廃地約6千平方メートル。 周囲にはヤギが逃げ出さないよう柵を取り付け、日よけや寝床となる小屋も設置。同委員会のメンバーが順番で毎日、健康状態を確認している。
ヤギはおとなしい性格で人懐っこいこともあり、すぐに地域の人気者に。メンバーの渡辺善伸さん(65)は「ある程度繁殖させて、乳やチーズなどの特産品開発にもつなげられたら」と構想を膨らませる。 同地区は高齢化や担い手不足の影響もあり、千年以上続く農村景観をどう維持していくかが課題。都市部住民を招いた田植えや稲刈りイベント開催などに取り組んでいる。 河野委員長(88)は「いろいろな知恵を出しながら維持し続けられるよう努力している。ヤギは愛嬌(あいきょう)があり、地域のマスコットとして大切に育てたい」と話した。