「自由な往来」「共同経済活動」どう思う 北方領土元島民・首脳会談への声
終戦から71年経過しましたが、いまだに解決していないのが、不法占拠されたままとなっている北方領土の問題――。12月15日のプーチン大統領来日による日ロ首脳会談で、領土問題進展へ糸口をつけることができるか、注目されています。かつて4島で暮らしていた住民は果たしてこの首脳会談をどのように見ているのか。「証言・北方領土」でインタビューに応じた元島民の声を集めてみました。
「一般市民だったらなごやかに暮らせる」
元島民が北方領土を自由に往来することについて、歯舞群島水晶島と国後島に住んでいた佐藤健夫さん(79)=北海道中標津町=は、旧ソ連が島を占拠後、島に残っていた島民が強制的に退去させられるまで2~3年、ソ連兵の家族らと一緒に暮らしていたことに触れ、「一般市民だったらもっとなごやかに暮らせると思う」と話します。 帰属の問題についても「どこの国の島にするかは、ちょっと埒が明かないような、状況になってきている。だんだんとロシア人のふるさとにもなってきた」と指摘。「法律がどうか、主権がどこになるかも棚上げして、自由に住めるような特区という島になったらどうかな」。「僕たちの年代には一緒に住めるかっていうと、ちょっと抵抗ある」とした上で、「だけどもう2世、3世の時代になってきますからね、仲良くして、暮らしてもらうことは、いいことだと思う。生きているうち、もう何年も先ないから、せめて自由に行き来できるぐらいは、すぐにしてほしい」と希望しました。 【証言・北方領土】水晶島と国後島・元島民 佐藤健夫さん(4)
共同経済活動で領土問題を話し合う信頼関係をつくるのでは
また共同経済活動に関して、歯舞群島水晶島の元島民、柏原榮さん(85)=北海道根室市=は「外交は相手の国が、どう考えているか見極める必要がある。石油の問題はロシアが発展しようとする一つの動脈みたいなもの、どうしても経済を中心にして、日本の技術を手に入れたい、協力してほしいという願いは、向こうはすごいと思う」とみています。「日本は、この経済的な交流、支援を通し、相手の国民にも信頼関係をつくっていく中で、領土問題を話し合いできる状態をまずつくる。そういう点では、まず2島を起点にしながら、島民の思いを実現させていきたいという意思が安倍首相にあるように思う」と語りました。 【証言・北方領土】歯舞群島 水晶島・元島民 柏原榮さん(3) 国後島の元島民、池田英造さん(83)=北海道根室市=は、かつて島でホームステイしたときに、すでにロシア住民と経済協力の話をした、と言います。「『気を悪くするかもしれないけど、北方領土を日本に返して、日本の経済を導入して、もっと整備して、俺らと一緒に住まう気がないか』と言ったら、『それができれば北方領土は返してもいい』って話が出た」。そして、「中国が世界一になったら、ロシア惨めだ。それで、日本が『シベリア開発は日本に任せろ、そうでないとロシア終わりだよ』っていうところまで話できるか。そういう話したら、絶対、トップ同士の2人まとまると思う」と述べています。 【証言・北方領土】国後島・元島民 池田英造さん(4)