松本まりかさん「人生間違えてもいいけれど、自分の美学みたいな領域だけは侵さないように」|CLASSY.
CLASSY.読者の少し先を歩き、いま輝いている人生の先輩たちは自らの人生の中でどんな選択をしてきたんだろう? CLASSY.創刊の年に生まれて今年40歳になる「CLASSY.と同い年」の先輩・松本まりかさんに、今回は人生の転機や結婚観についてお伺いしました。
「人前に立ち、表現を仕事にするのならば、自分の純度を保っておくことはとても大切なことだと思うように」
――今の時代、結婚への向き合い方も多様化しています。松本さんの結婚観を教えてください。 私は結婚に夢見ちゃってるんですよ(笑)。本当に好きで尊敬できる人と出会いたいから、そのために勉強し続けたり、思いやる心を育てたり、人間の幅を広げて自分を磨いていきたい。でも、自分の弱さ故に、誰かに中途半端に甘えてしまったら、素敵な人には出会えない気がするし、出会えたとしても自分自身を不純に感じてしまいそうで…。だから、いつかやってくるであろうそのタイミングまで、自分の純度は保っていきたいと思っています。 ――そのスタンスは昔からですか? 元々そういうのはあったと思いますが、2018年に出演したドラマ『ホリデイラブ』以降、より強くなりました。ありがたいことに仕事の幅が広がり、とても忙しくなって、影響力のある立場になってきたことを自覚したときに、自分の純度を保っておかないと、この仕事をしてはいけない、と考えるようになりました。自分の正義や美学に反することをして、私は人前に立つことはできないな、と。大きな役を任されたり、幅広いジャンルで求めてもらえるようになる中で、悪い心を持っていたり、後ろめたいことがあると、それが表現に出てしまう気がして。人生、間違えてもいいけれど、自分の美学みたいな領域だけは犯してはいけないし、犯されてはいけない。それは、表に立つ機会が増えて、自分の言葉や行動が誰かに影響を与えていると実感したときに、強く思ったことです。まだまだその理想には遠いことも多いですが…(笑)。
「自家発電で自分を変えるのは難しくて、環境に変えてもらう方が合っていると思っていました」
――これまでの人生で、「転機になったこと」を3つ挙げるとしたら、何がありますか? 1つ目は、2000年にデビュー作であるテレビドラマ『六番目の小夜子』に出演したこと。幼い頃から学芸会で演技することが好きでしたが、初めて仕事として芝居をして、「演技が上手くなりたい」、「女優さんになりたい」と思うきっかけになりました。 2つ目は、2018年の『ホリデイラブ』をきっかけに、演技もそれ以外の仕事も一気に増えて、いろんな意味で注目されるようになり、意識も環境も変わったこと。演じたり、取材を受けたりする上で、表に出て相応しい人間にならないといけないと感じました。それがあっての今だと思っています。 3つ目は、今年から事務所を移籍して、環境を変えたこと。自分の言葉で伝える必要があるし、今まで関係を築いてきた方々とも別れなければならず、いろんな痛みを伴う決断でしたが、私にとっては“退路を断つ”という初めての経験にもなりました。恋愛においても振られたことしかなくて、自ら振ることができない人間だったんです。相手を傷つけるのも嫌だし、責任を取りたくなかったんでしょうね。でも、『ホリデイラブ』以降の5年間、様々なことを経験して意識も変わり、初めて自ら退路を断つ選択ができた。このことはかなり自分を成長させました。 ――CLASSY.読者は転職を選択する人も増えていて、自ら環境を変える人もたくさんいます。 新しい環境で、初めましての人たちと信頼関係を築く、という意味では、最近の私の状況と転職は似ているかもしれないです。それまでの環境で進むこともできましたが、私の場合、自家発電で自分を変えるのは難しくて、環境に変えてもらう方が合っていると思っていました。環境が変わって新しい出会いがあると、「この人は、どういう人なんだろう」「どう接するのがいいんだろう」っていろんな脳を使ってすごく研ぎ澄まされる。この大きな変化は自分を活性化させたし、表現にも生きてくると感じています。私は自分が怠ける人間だと分かっているので、自分を高められる環境作りはずっと意識してきました。例えば、英語が堪能ではないけれど、留学してみるとか、自分では運動できないから、とりあえずピラティスをスケジュールに入れる、とか。日々の小さなことでも自ら環境を変えるのは、結構オススメの方法です。 松本まりか 1984年生まれ。東京都出身。2000年にNHK『六番目の小夜子』でドラマデビュー。その後、モデルや声優としても活躍。主な出演作は、テレビ朝日『ホリデイラブ』、NHK大河ドラマ『どうする家康』、ABCテレビ『ミス・ターゲット』。7月8日スタートのテレビ東京『夫の家庭を壊すまで』にて主演を務める。W主演映画『湖の女たち』も公開中。 ジャケット¥49,500(LE PHIL NEWoMan 新宿店)ワンピース¥42,900〈ポンティ〉サンダル¥86,900〈トーガプルラ〉(ともにシティショップ)バングル[2本セット]¥51,920ピアス¥40,260リング¥33,440(すべてソコ/ZUTTOHOLIC) 撮影/谷口 巧(Pygmy Company) ヘアメーク/森ユキオ(ROI) スタイリング/乾 千恵 取材/坂本結香 構成/永吉徳子