錦織とベスト8激突マレーがリベンジ宣言「昨年全米の敗戦を忘れていない」
テニスの全仏オープンの準々決勝が現地時間7日に行われ、世界ランキング9位の錦織圭(27、日清食品)が同1位のアンディ・マレー(30、英国)と対戦する。 過去の対戦成績は、錦織の2勝8敗だが、昨年の全米オープンの準々決勝ではフルセットの末、錦織が勝っている。しかし錦織は、5日の記者会見で昨年のアップセットについて聞かれ、「記憶力が良くないので覚えていない」と発言した。 この会見のコメントは世界各国のメディアでも取り上げられた。 オ-ストラリアのスポーツウェブサイト「セブン・スポート」は、錦織のこの会見動画を掲載し「“うーん”と、錦織はコミカルに記憶力が良くないことを明かした」というタイトルで報じた。 英国のウェブサイト「メトロ」でも、錦織が記者会見で発した「覚えていない」という言葉を、動画つきで伝えている。 一方、対戦相手の王者マレーは、全米オープンで錦織に負けた試合をハッキリと覚えていて、その敗戦を振り返って錦織との準々決勝に備えているようだ。 英国に拠点を置くニュースサービス、プレスアソシエーションの記事は「マレーは、錦織との対戦で勝ちを逃した試合について学ぶ準備ができている」という見出しで報じた。 記事は、「錦織とは違い、マレーは全米オープンで準々決勝の敗戦を忘れてはいない。そして、そのときの借りを返そうと考えている」と書き出している。 同記事は、「世界一の彼はウインブルドンとオリンピックに勝った後、昨年夏のニューヨークでも優勝するのではと予想されていたが、劇的な夜に、その予想は覆された」と、錦織に敗れた昨年の全米オープンが番狂わせであったという経緯を説明。そして、「彼は第1セットは6-1で勝ったが、第4セットで音響システムの不調のためにプレーが中断されたことに動揺したようだった。冷静さを失ったマレーは、巻き返そうとしたが、このセットを落とした」と回顧。さらに、「錦織は選手生命のなかで最も重大な勝利のひとつであるあの試合を思い出せないなんて、驚きに値する」と皮肉っぽく書いた。 逆に、「マレーは彼の過去の対戦については百科事典のように記憶しており、彼には、錦織のような記憶違いということは起こらない」と付け加えた。 そして、マレーの錦織戦に向けてのコメントも紹介した。 「我々は全米オープンで対戦したし、それは5セットであり、そのマッチは僕から逃げていったものだ。だから、そこから少し学ぶ必要がある。錦織はリターンが良いし、彼はいつでも手強い選手だ」 マレーは、自身のコンディションについて「今の僕は、ゲームには満足している。今は全てがかなり良い。2週目の半ばへ入っていくのにとてもよい感じだ」とコメントしたことも伝えた。 また、マレーが今大会に夫人と生後16カ月の娘ソフィアちゃんを連れてきていることにも触れている。しかし、ソフィアちゃんは今のところ、テニスに興味がないそうだ。 マレーは、「小さいラケットを娘に手渡したら、娘はそれを握ったあと、そのまま容器に片付けてしまった。だから関心があるのか、分からない」と話したそうだ。 ソフィアちゃんは、テレビに映る父マレーの姿がよく分かるという。昨年夏の全米オープンで錦織に負けたことを鮮明に記憶している王者マレーは、愛娘の前でその借りを返す準備を整えている。