大分市の市民グループがNPO法人の「日本トイレ大賞」に 白衣姿で黙々と清掃パフォーマンス「10周年の節目に評価されうれしい」
白衣姿で黙々とトイレ清掃のパフォーマンスをする大分市の市民グループ「大分圏清掃整理促進運動会」(八坂千景会長)が、NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)の本年度の「日本トイレ大賞」に選ばれた。トイレと真剣に向き合い、魅力的な取り組みをしている団体、個人を表彰するもので、メンバーは「活動10周年の節目で地道な活動が評価されうれしい」と喜んでいる。 同賞は、普段は話題にしにくいトイレや排せつにまつわることへの意識を高めていこうと2016年に設立された。 同会は15年、市中心部で開かれた芸術祭「おおいたトイレンナーレ」を機に結成。大分ゆかりの赤瀬川原平さん(故人)らによる前衛芸術集団「ハイレッド・センター」が1964年の東京五輪前、銀座の街頭で白衣をまとい掃除をしたアートパフォーマンスにヒントを得て、活動を続けている。
メンバーは自営業者や会社員、公務員ら20~80代の14人。毎月10日の午前7時に市内の公園や公共施設のトイレ前に集まり、ラジオ体操をして心身を整えた後、無言で清掃する。ユニークな表情やポーズを取る人もいる。 花見客の多い4月は同市荷揚町の大分城址公園、忘年会シーズンの12月は同市都町のジャングル公園が定番。今年も雑巾やブラシで便座や壁を磨き上げ、街ゆく人の視線を集めていた。 結成当初から参加する菅章さん(71)=前大分市美術館長=は「さまざまな年代、職種の人が集まり、トイレ掃除をしてまた日常に戻る。一見、無意味な活動に見えて、アートや生活とゆるやかにつながっているのがいい」と話す。 八坂会長(52)は「人間らしく生きるために欠かせないのがトイレ。それは文化や芸術も同じ。トイレやアートと向き合いながらパフォーマンスを続けたい」と話している。