福本豊氏、盗塁世界記録祝ったお礼にもらったサイン入り二塁ベース「本当にナイスガイ」…リッキー・ヘンダーソンさんを悼む
アスレチックスなどで史上最多の1406盗塁をマークしたリッキー・ヘンダーソンさんが21日(日本時間22日)、死去したと複数の米メディアが報じた。65歳だった。NPBで1065盗塁をマークし、ヘンダーソンさんに塗り替えられるまで世界記録保持者だった福本豊(スポーツ報知評論家)さんが、故人をしのんだ。 ネットのニュースを見て、目を疑った。まだ65歳。めっちゃ若いのに…。適切な言葉が思い浮かばないほど、ショックが大きい。 リッキーが世界記録を樹立した93年6月16日のホワイトソックス戦は米オークランドに赴き、始球式を務めさせてもらった。本当にナイスガイで、記録を塗り替えられた悔しさもなかった。記念に金色のスパイクを贈ると、お礼に返されたのが、彼が踏みしめた二塁ベースだった。 「To Y.FUKUMOTO The World Greatest Base Stealer of JAPAN」と記し、自らのサインと日付を添えてくれた。日本の野球殿堂博物館に展示されていた(現在は収蔵)が、果たして持って帰ってよかったのか。今になって米国の博物館から返してほしいと言われるんじゃないかと思っている。 オフに来日した彼が一度、阪急が秋季キャンプを張っていた神勝寺球場(広島・福山市)を訪ねてくれた。山森(雅文)、南牟礼(豊蔵)らに盗塁のスタートを教えてくれたが、踏み出す足の馬力が半端ない。積んでいる排気量(エンジン)の違いを感じた。また、身長は180センチに満たないが、首がめちゃくちゃ太い。頭から滑り込んでもけがしないように鍛えていたんじゃないか。 日本の記者が取材に行くと「ミスター・フクモトはどうしてる?」と気にかけてくれていたそうだ。晩年はゆっくり話す機会もなかったが、彼とライバル、友人だったことを誇りに思う。パワー全盛のメジャーでも、近年は大谷、デラクルーズら走れる選手が脚光を浴びている。彼らが盗塁を重ねることで、リッキーの功績を思い出してもらえたらうれしい。ご冥福(めいふく)をお祈りします。
報知新聞社