もう令和なのに…和式トイレしかない小学校も なぜ進まない?小中学校の「洋式化」
京都府舞鶴市の小中学校のトイレにある便器の洋式化が遅れている。昨年9月1日時点の文部科学省調査で、男性用小便器を除く便器のうち洋式の割合は32.4%で、京都府内の自治体では最低の数値だ。吉原小学校には和式トイレしかない。古いトイレは、臭いなどの衛生面でも問題があるが、学校の統廃合計画もからんで改修が進まない状況だ。 【写真】洋式に改修、こんなにきれいに 調査によると、洋式トイレの割合は福知山市54・7%、綾部市40・4%など。府全体では63・8%、全国では68・3%となっている。 舞鶴市の学校関係者らによると、生活様式の変化で、小学校入学まで和式トイレを使ったことがない児童も多いという。災害時に避難所となる学校では、バリアフリーの観点からも洋式化が求められる。 和式トイレには衛生面の課題もある。底が浅く、排せつ物が飛び散りやすい。床に水をまく「湿式清掃」によって、ぬれた床が細菌の温床になるとされる。 8月に校舎の長寿命化工事を終えた倉梯小学校。児童が過ごす校舎は全て和式だったが、洋式に切り替わった。除菌シートでの清掃に変更し、手洗いも自動水栓になった。6年生の児童たちは「掃除がしやすくなった」「和式に慣れない低学年のことを思うと、洋式になってよかった」と喜んでいた。 古いトイレがある学校では、快適なトイレに改善していく生徒発案の取り組みも進む。1年生の校舎が古い城南中学校では、各クラスで出し合ったアイデアを基に、学校の予算でペンキや芳香剤を購入し、教員と生徒でリメークした。アイデアの取りまとめに携わった水嶋今日子さん(13)と有田瑛翔さん(12)は「においや雰囲気の暗さが改善された」と話し、生徒からも好評という。ただ、「どうしても取れない汚れがあった」と言い、設備の古さ、汚れの蓄積といった課題は残ったままだ。 トイレの改修が遅れる背景には、校舎の大規模改修と同時に行うという市の方針がある。和式だけだった加佐中学校に2022年度、洋式を男女用に1器ずつ設置するといった個別改修も行っているが、市教委によると「多額の費用を要する校舎や体育館の大規模改修、エアコン、給水、防水等の重要な設備の更新もあり、トイレの改修が進んでいない状況」という。 少子化を受けた学校統廃合の計画が24年度末に決まる見通し。鴨田秋津市長は9月末の記者会見で「(統廃合の計画が決まってから)より具体的に、優先順位を付けてトイレ改修の予算付けをしていきたい」と述べた。