商業用不動産ファンド、「座礁資産」抱える-新エネルギー要件の下
(ブルームバーグ): 商業用不動産ファンドの多くのポートフォリオに、座礁資産と見なすことのできる資産が含まれている。欧州で導入されつつあるエネルギー要件が原因だ。
エネルギー効率に特化したデータインテリジェンス企業、ディープキが19日発表した報告書によると、調査対象となった欧州の商業用不動産ポートフォリオ運用者約250人の半数以上が、保有資産の30%超が座礁資産となっていることを認めた。
「これらのビルは、エネルギー性能の低さのために価値を失っている」と、報告書の著者は説明している。
英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアで合計2260億ユーロ(約38兆3000億円)を運用する資産運用会社は、現在施行されつつあるより厳しいエネルギー効率要件に対応している。欧州連合(EU)は、ネットゼロ規制を強化する一環として、建物のエネルギー性能に関する指令(EPBD)を可決したばかりだ。
EUの銀行はすでに、商業用不動産関連の融資の条件を厳しく設定することで対応している。EU最大の銀行であるBNPパリバは現在、2030年末までのポートフォリオの排出量原単位の41%に相当する削減を目標としている。サンタンデール銀行、バークレイズ、INGグループ、ナットウエスト・グループなど、他の銀行も同様の対策をすでに講じているか、検討中だ。
ディープキのビンセント・ブライアント最高経営責任者(CEO)は、グリーンエネルギー基準を満たさない商業用不動産関連顧客に対して銀行が借り入れコストを引き上げるのを定期的に目にしていると述べた。このようなリスクを管理するため、銀行は不動産カーボンリスクモニター(CRREM)のようなツールに頼るようになっている。
銀行は顧客に対し、CRREMに沿わない場合、金利が最大で年間15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高くなると伝えているとブライアント氏はインタビューで語った。