【相次ぐ入札ミス】危機感持って対応を(11月13日)
今年度のいわき市発注の工事で、市の積算ミスなどによる落札業者との契約解除や入札中止が10月末までに計17件発生した。市は市政への信頼が揺らぐ深刻な事態と受け止め、担当職員約170人を集めた異例のミス防止説明会を開いた。再発を防ぐチェック体制の強化はもとより、入札業務以外も含めた職員の公務員としての意識向上に努めてもらいたい。 契約解除は磐城平城・城跡公園(仮称)整備、配水管工事(2件)、三和町河川改良の計4件で、入札中止は13件に上った。合計の件数は昨年度1年間の6件をすでに3倍近く上回っている。積算システムの入力操作を誤ったり、今年度から変更された積算基準を認識していなかったりして、工事費に誤りが生じるなどしたという。 市はミスを把握するたびに関係職員への周知、チェック体制の見直しを進めてきたというが、同様の事例が繰り返されるのはなぜか。安藤靖雄副市長は説明会で「市民から厳しい目が向けられている。気を引き締めてほしい」と危機感をあらわにした。
東京電力福島第1原発事故で市内に避難した世帯から総額約9545万円の保育料を過徴収したミスもこの日、明るみに出た。公共工事に限らず、住民や事業者との信頼関係がなければ行政は滞りかねないとの認識を強める必要がある。 契約解除となった配水管工事のうち1件は昨年度中の今年1月に入札が行われ、最低制限価格(非公表)の算出ミスが生じた。その価格と同額で落札されたため、第三者委員会が情報漏えいの有無を調べた上で、市に捜査機関への相談を促した経緯がある。 市は8月に入札をやり直したが、再び最低制限価格を誤り、これと同額で3社が応札する事態となった。市として不断の調査に努めるとともに、入札制度の見直しも視野に入れた検証が欠かせない。 入札を巡るミスは県や郡山市などでも相次いでいる。今月1日には、業者に設計金額を漏らしたとして県職員が公契約関係競売入札妨害罪で在宅起訴された。行政に対する県民の目は厳しさを増していると受け止め、県、市町村は情報交換しながら職員の心構えや業務を丁寧に点検してほしい。(渡部育夫)