「森林鉄道」678mに延伸完了 廃線から半世紀超、林間抜ける雰囲気再現 宍粟・波賀
兵庫県宍粟市波賀町で、大正から昭和期にかけて木材を運搬し、現在は観光用列車として活躍する「波賀森林鉄道(林鉄)」の延伸工事が、野外活動施設「フォレストステーション波賀」(同町上野)で完成した。昨年夏、廃線から55年ぶりに地元住民らが復活させ、今年10月26日に線路を総延長678メートルに延ばす工事が完了。関係者ら約300人が完成式典に出席し、列車が延伸コースを走る様子を見学した。(辰巳直之) 【動画】子どもらを乗せ、新路線を走る「波賀森林鉄道」 ■子どもら最後のレール敷設作業 林鉄は、1916(大正5)年から路線整備が始まり、国有林から切り出したスギやヒノキを運搬。安全なトラック輸送に移行したことなどから、68(昭和43)年に廃線となった。その後、復活を目指す住民グループ「波賀元気づくりネットワーク協議会」がディーゼル機関車や客車用車両を取得し、昨年8月に1周108メートルの周回コースを整備した。 さらに林間を抜ける雰囲気を再現しようと、線路の延伸を計画。26日は市内外の子ども約20人が最後の線路の敷設作業に加わり、レールを固定するくぎを打ったり線路に敷くバラスト(砂利)を運んだりして完成させた。 工事完了後、参加者は斜面沿いを通る新路線を歩き、機関車は往時をしのんで木材を運搬した。参加した波賀小1年の女児(7)は「くぎ打ちや線路を歩くのが楽しかった」と笑顔を見せた。 同日からは、駅舎2棟の建設費用を募るクラウドファンディング(CF)も開始。同協議会の松本貞人会長(64)は「みんなが集まり、笑い声の聞こえる駅舎にしたい」と意欲的に話した。