2塁送球1.83を誇る強肩捕手・倉田陽人(埼玉栄)に注目。冷静なリードで投手陣をまとめ、コールド発進【24年夏・埼玉大会】
<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:埼玉栄10-1浦和北 (7回コールド)>14日◇2回戦◇県営大宮球場 【トーナメント表】埼玉大会 16日までの試合結果 雨天の県営大宮球場・第1試合は、2塁送球1.83を誇る強肩捕手・倉田陽人(3年)擁するCシード・埼玉栄 vs 浦和北。 先発は浦和北がエース浅子晴紀(3年)、一方の埼玉栄は1年生右腕・齋藤大治が登板し試合が始まる。 最初にチャンスを得たのは浦和北であった。 2回表、この回先頭の瀬川央伍(3年)、続く浅子が連続四球で出塁し、無死一、二塁とする。ここで打順が下位に回ることもあり、ベンチは強攻を選択。だが、6番・吉澤玄羽(2年)は三振に倒れると後続も倒れ無得点に終わる。 先制したのは埼玉栄。 埼玉栄は3回裏、一死後1番・長岡琉太(2年)が死球で出塁すると、続く井上翔瑛(3年)の打球は強めのセカンドゴロ。併殺かと思われたが、セカンドが先に二塁を見てしまいエラーとなり一死一、二塁とする。ここで3番・髙橋良誠(3年)がセンター前タイムリーを放ちまず1点、さらに続く倉田がレフト前タイムリーを放つと、5番・平賀悠真(3年)も左中間へ2点タイムリー二塁打を放つ。さらに続く津郷那智(2年)もライト線へタイムリー二塁打を放つなど埼玉栄打線がこの回一挙5点を奪い試合の主導権を握る。 埼玉栄は5回裏にも4回からマウンドに上がった2番手・瀬戸翔大(2年)に対し、この回先頭の倉田が三塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、さらに中継が乱れる間に三塁を奪う(記録は三塁打)。一死後6番・津郷がきっちりと犠飛を放ち1点を追加する。 浦和北の反撃は6回表、5回からマウンドに上がった埼玉栄の2番手左腕・内藤幸生(2年)に対し、一死から荒井一喜(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く瀬川が四球を選び一死一、二塁とする。さらに5番・浅子もライト前ヒットを放ち一死満塁とチャンスを広げると、二死後、7番・木村翔太(2年)がレフト前タイムリーを放ち1点を返す。 だが、埼玉栄はその裏、この回先頭の代打・渡邉隼羽(3年)が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、これを足がかりとし、長岡、井上、髙橋と三連続長短打で一気に4点を追加し試合の大勢は決した。 投げては、先発・齋藤が浦和北打線を4回無失点に抑える好投を披露すると、その後内藤、濱野佑翔(3年)と繋ぎ1失点で切り抜ける。 結局、埼玉栄が7回コールド10対1で浦和北を破り初戦を突破した。 まずは浦和北、「うちはエラーが出るのでそこは責められない」と、浅川監督は選手を庇ったが、強豪校と対する場合、一つのエラーがその後展開に大きく影響するその典型のような試合となってしまった。とはいえ、「もちろん行けるなら浅子で最後まで行かせたかったですが。浅子はあまりに一廻り目が良すぎたのでやや継投タイミングを逸した。野球の技術的には2年生が上手いんですが、人間性は3年生が素晴らしかったので。練習の準備なども率先して3年生がやっていて2年生を支えていた」(浅川監督)と、最上級生を称えていた。他にも高校から野球を始めた子を受け入れ、野球界の裾野を見据えた活動もしている浦和北。打倒私学へ、浦和北の挑戦は続く。 一方の埼玉栄は「浅子君は速いボールと遅いゴールを組み合わせてくる。外野も深くグラウンドの状態も悪いので、『大振りをせず低い打球を』と話をしました。先制点も低い打球がきっかけ。それを見て外野が前に出てきた所をうまく長打を打っていけるようになり点数が取れたのかなと思います。齋藤の先発は秋・春と和泉に頼り切りだったので、学年関係なく他の投手陣でゲームを組み立てるということを春以降やってきたので、どの投手が行ってもある程度ゲームが作れるようにはなったと思う。齋藤に関しては期待はしているので。次戦以降もしっかりと投げてくれれば。夏はどのチームも必死にやってくるので挑戦者の気持ちでひたむきに。次戦へ向け四死球と走塁が課題」(山田監督)と、まずまずの初戦となった。 注目の倉田も「齋藤は昨日から浮いていたのでどう修正するかは課題だったんですが、序盤それに苦しんで制球が乱れて、流れがこっちに来なかったかなと。ただ、1年生で春も投げてない子なのでそれはある程度想定内で、塁に出しても自分が走らせなければいいとかカバーができればと思っていた。それだけに振り逃げとかは申し訳なかった。相手投手は速いボールがなくコースをついた直球と緩い変化球で、振っていかないと合わないと思ったので、しっかりと強いスイングで、ライナー性の打球で狙うことをチームとして徹底した結果。守備は自分が引っ張って、打撃は前後の打者が良いので次へ繋ぐ意識で」(倉田)と、自分の役割を意識しチームをまとめている。 この日は内容が良くなかったが、練習試合の帝京戦で8回3失点と好投した内藤に目処が立てば、エース和泉の負担も減り上位進出の割合が上がるはずだ。今後に期待したい。