【50代・年収1,000万円超】タワマン在住・余裕シャクシャクの独身サラリーマン、ゆとりのはずが「困窮→退去」に至ったトホホな事情
マッチングアプリの相手に騙され、借金1,000万円
ところが、傷心もなんのその、憧れだったタワマン生活は毎日にハリをもたらした。素晴らしい眺望や利便性の高い周辺環境で、生活のモチベーションは爆上がり。自宅近くのおしゃれな店で食事をとり、週末は自宅でワイン。理想の暮らしに心は弾んだ。 半年ほど過ぎ、生活にもすっかり慣れたとき、山田さんは自分が暮らすタワマンの前に、別れた彼女が立っているのを見て言葉を失った。しかし、彼女のほうは山田さんの顔を見るなりボロボロ泣き出した。 「マッチングアプリの相手に騙されて、1,000万円の借金を背負ったというのです」 金融詐欺だった。 「同僚や後輩を誘ってしまったことで会社にいられなくなり、家賃が払えずマンションも追われ、どうしようもない状況に追い込まれてしまったというんです」 山田さんは、住む場所もお金もない彼女の借金を肩代わりした。彼女のほうは、山田さんの部屋に身を置きながら仕事を探していたが、なかなか決まらない。そのうち、ストレスのせいか、寝込むことが増えてきた。 山田さんは、パジャマ姿で申し訳なさそうにしている彼女を追い出すこともできず、ぼんやり考えた。 「この状況を考えたら、タワマンから引っ越さなきゃかなぁ…」 懸念は費用面だった。いままではどんぶり勘定でも右肩上がりに預金残高が増えていたが、家賃を払いながら彼女の生活費や治療費を負担していると、残高は緩やかに目減りしていく。当然だが、彼女からの1,000万円の返済のめどもまったく立たない。 「結婚を考えていたときは、共働きでゆとりある老後を送るという見通しが、なんとなく見えていました。しかし、状況は大きく変わりました。友人は〈なんで彼女を追い出さないのか〉と呆れますが、これは自分の身に降りかかった人でないとわからないでしょう。行き場のない人を追い出すことは、ちょっとやそっとじゃできませんよ。もし仮に追い出したとしても、あまりに後味が悪いのではないかと…」 「結婚を考えていた当時のような気持ちは残っていないのですが、これって年齢からくるあきらめみたいなものですかね…」 山田さんはその後、下町のマンションへ彼女と一緒に転居した。 「タワマンがよく見える場所なんですよ」 また暮らせるようになったら、タワマンに暮らしたいと山田さんはいう。 「そのためにも、一生懸命働かないとですね」 山田さんがタワマンに戻れる日は来るのだろうか。
THE GOLD ONLINE編集部(タワマン取材班)