なぜ?高さ5.4mの仏像が山中に…4年かけて木を彫り進め自宅に完成 のみを手に一から造り上げた75歳農家の思い
長野県長野市信州新町越道(こえどう)の農業西沢治夫さん(75)が自宅敷地で制作してきた薬師如来像が完成し、27日、開眼式があった。2020年1月に制作を始めてから4年余。高さ約5・4メートル、幅約4メートルの像が完成した。 【写真】こだわったという仏像の顔
薬師如来は、病気を治したり疫病を鎮めたりする仏とされる。新型コロナウイルスの収束や災害が起きないことへの祈りを込めて彫り続けた。
チェーンソーやのみで仏像のパーツを作り…
知人から譲り受けた地元産の木から、チェーンソーやのみで仏像のパーツを作り、組み合わせた。西沢さんの一番のこだわりは表情。大きいサイズになると顔のバランスを取るのが難しく、作業を止めて一歩下がり、確認しながら慎重に彫った。
「すごいね」と周囲の人たち
仏像背面には、太陽が昇降する様子と北アルプスの山々を描いた。「周りの人の『すごいね』という声が、彫り進める原動力だった」と振り返る。
仏像作りは独学 今回が「集大成」
西沢さんは若い頃から登山や風景画を描くことが趣味だった。知人が仏像を作っている姿を見て、自分もやってみようと独学で仏像作りを始めた。これまで作ってきた仏像は大小合わせて約100点。今回の薬師如来像が「集大成」だ。
山あいの県道沿いを走ると見えてくる 観光客の姿も
自宅は県道信濃信州新線沿いの山あいにある。開眼式には西沢さんの知人らと臥雲院(長野市中条)の住職を招き、法要を営んだ。友人の峯村欣弘(よしひろ)さん(79)=長野市篠ノ井=は「出来上がるのを楽しみにしていた」と仏像を見上げた。県道から仏像を見つけ、写真を撮る観光客の姿もある。西沢さんは「地域の支援のおかげで完成させることができた。ぜひ気軽に見に来て声をかけてほしい」と呼びかけている。