羽田空港、東武との直通特急も乗り入れへ? 国が〝期待〟するアクセス利便性の向上とは「鉄道なにコレ!?」【第45回】
7月15日から浅草(東京)―東武日光・鬼怒川温泉(栃木県日光市)間を結ぶ新型特急「スペーシア X」N100系がデビューすることでも脚光を浴びている東武鉄道。実は、2031年度開業予定のJR東日本の新路線「羽田空港アクセス線」に乗り入れる可能性が国の諮問機関によって〝期待〟されている。自動車などの工場が集積する群馬県南部と羽田空港新駅が、東武とJR東日本の直通特急列車で結ばれるかもしれない。(共同通信=大塚圭一郎) ▽JR東日本〝等〟の対象となる鉄道会社は… 今年6月2日に起工式が執り行われた羽田空港アクセス線を高く評価し、実現へと背中を押したのが国土交通相の諮問機関、交通政策審議会が鉄道整備の方向性について2016年にまとめた答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」だ。羽田空港アクセス線を「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」と評した。 答申では「意義」の一つとして「JR東日本等の既存ネットワークとの直通運転による多方面と羽田空港とのアクセス利便性の向上」を挙げた。「JR東日本等」とJR東日本以外の鉄道会社との直通運転に言及したところに含意がある。
将来的には東京臨海高速鉄道りんかい線に乗り入れる臨海部ルートの建設を目指しているため、東京臨海高速鉄道がJR東日本以外に入るのは自明だ。 ただ、手始めに2031年度から運行が始まる予定の「東山手ルート」(新橋、東京、上野経由)でも他の鉄道会社との直通運転が始まる可能性を秘めている。 というのも、答申では「課題」の1項目として「久喜駅での東武伊勢崎線と東北本線の相互直通運転化等の工夫により、さらに広域からの空港アクセス利便性の向上に資する取組についても検討が行われることを期待」との一文が盛り込まれており、JR東北線と東武伊勢崎線が乗り入れる久喜駅(埼玉県久喜市)を経由した直通運転を検討するように促したからだ。 ▽なぜ東武なのか 答申が東武との相互直通運転を例示した背景には、JR東日本と東武は線路幅が同じ狭軌(1067ミリ)で、直流1500ボルトの電化なのも一致している事情がある。両社が現在、相互直通運転している関係なのも「検討」の現実性を高める。