「都会から地方に移住したら、閉鎖的でヒドい目にあった…」。地方移住で「田舎を悪者にする事例」ばかりが注目を集める「納得の理由」
昨年、東京都で少し変わった動きがあった。ついに東京都が、多摩島しょ地区への移住者誘致、そして、東京都からの人口流出の抑制に動き出したのだ。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 日本全体が人口減少の危機に直面し、地方から東京への人口の「供給」が減少するわけだから、今後は当たり前のように東京でも人口減少がはじまる。国勢調査のデータを見れば、東京都の人口は2030年をピークに減少していくと予想される。もうたった6年後の話だ。人口減少の津波はもうそこまで来ている。 一方、そんななかで注目を集めているのは「地方移住」である。近年は芸能人など有名人が地方に移住したという記事をよく目にするようになった。とりわけコロナ禍以降はその流れが顕著であったが、コロナ禍を経て、地方移住はどう変わってきたのだろうか。 以下では、この数年、コロナ禍以降・ポストコロナ禍の「移住」の特徴……とくに、(1)「地方移住の失敗」が注目を集める構造、(2)地方移住系YouTuberの問題、(3)そして、「二拠点生活」の3つのポイントに焦点を当てて考えたい。自身も地方移住を経験し、地方移住のサポートをしている筆者が、実際に見聞きした事例からその傾向を追う。
「移住」がライフスタイルの一つに
コロナ禍では人口密集地である都市部を避ける行動として、「コロナ移住」という言葉がうまれ、あらためて地方移住が注目される機会となった。「コロナ移住」は、今では使われない言葉となり、一過性の話題のようであったが、地方移住そのものはライフスタイルの一つとして認知されてきた。 地方移住が「一過性の流行」で終わらず、ライフスタイルとして認められたのは、過疎に危機感を持ち、過疎がそれ以上進行するのを防ごうと、愚直に対策に取り組んできた地方で暮らす人々が頑張った結果である。 そのおかげで、大半の移住者は地域に溶け込み、地元住民も暖かく迎え入れ共生している。そして、移住者自らが田舎暮らしの楽しさを発信することで、新しい移住者を生み出している。