誰でもできる組織変革のフレームワーク「経営の4P」とは
■前提(2) :企業は経営と現場の溝を埋めることに腐心している あらゆるビジネスは、コミュニケーションを通して行われます。逆にいえば、コミュニケーションを一切取らずにビジネスを行うことは難しいでしょう。社会システム理論の大家である、ドイツのニクラス・ルーマンも「コミュニケーションによってこそ社会は成立する」と論じています。 実際の企業においては、経営と現場間のコミュニケーション活動を通してビジネスが行われているでしょう。ただ、両者の間には深い溝があるのが、ほとんどの組織における現状です。 それは、経営と現場では見ているものが異なり、その「視界差」が生じることによって引き起こされます。 例えば、経営層は「会社全体を俯瞰して」「中長期の時間軸で」と考えますが、現場のメンバー層は「自分の担当業務について」「短期の時間軸で」と考えることが多いのです。 これは立場が違う以上、発生してしまうのはある意味で仕方のない、宿命的なノイズだといえるでしょう。とはいえ、組織として事業を推進していく上では、このノイズをいかに縮減し、視界差をなくしていくかが企業の命題でもあります。 だからこそ「経営と現場をいかにつなぐか」は、経営課題ともいえる大きなテーマになるのです。 以上2つの前提から、経営活動を事業と組織、経営と現場の2軸に分けています。いかに事業と組織を両立させるか、経営と現場のコミュニケーションをつなぐかは、現代における企業経営の神髄でもあり、そこで経営者の手腕が試されるといっても過言ではありません。
宮本 茂/白木 俊行