誰でもできる組織変革のフレームワーク「経営の4P」とは
■ 重要なのは「事業⇔組織」「経営⇔現場」の両立 さて、ここからは、経営活動をなぜこのような分け方(事業⇔組織、経営⇔現場)にしているのかを、さらに深掘りしていきます。 ポイントは「実践的に(現実世界で使えるように)」「網羅的に(全体像を捉えられるように)」分けることです。まずは、LMで経営活動を捉える際に意識する、2つの前提について説明します。 ■前提(1) :労働市場適応の難易度が高まっている そもそも企業は、2つの市場に適応することを求められています。1つは事業活動を通して顧客をつかむ「商品市場適応」、もう1つは組織活動を通して社員をつかむ「労働市場適応」です。つまり経営活動は、まず「事業と組織」に分けることができます。 一昔前は「事業が順調であれば、組織は気にしなくて良い」、アメリカの経営史学者、アルフレッド・チャンドラーの言葉を借りれば、「組織は戦略に従う(事業>組織)」という世界でした。その理由は2点あります。 1点目は、労働市場が「硬直化」していたためです。従来の日本企業では、年功序列・終身雇用が主流であり、一度獲得した人財は辞めにくく、ケアする必要性が高くありませんでした。 2点目は、働く価値観が「画一的」だったためです。かつての成長経済下では、社員は金銭報酬や社会的地位が満たされることを望んでいたため、がんばっている人に、お金やポストを提供していれば良かった。それゆえに、事業が順調であれば、組織のことは気にせずとも問題なかったのです。 しかし、現代においては、労働市場適応の難易度が高まってきています。 その要因は、前述した「硬直化」「画一的」とは逆である「人財の流動化」と、「価値観の多様化」にあるでしょう。年功序列・終身雇用のシステムは限界を迎え、転職インフラの整備にともなって転職者は増加し、労働市場の流動性が高まり続けています。 また、成熟経済下では働く人々の価値観が多様化し、やりがいや自己成長など、さまざまな働く動機(ワークモチベーション)に対応する必要が出てきているのです。 結果として、現代においては「事業と組織を同じくらいの重さで考える」ことが重要となってきています。ここでのポイントは「事業と組織を1対1の比率で考える」ということです。「事業か組織か」ではなく、「事業も組織も」と考えなければなりません。