韓国大統領の拘束令状執行迫る 衝突懸念、尹氏はデモ隊へ「共に最後まで戦う」
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦大統領が宣布した「非常戒厳」について捜査している捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」や警察でつくる合同捜査本部は、裁判所が内乱首謀容疑などで発付した尹氏の拘束令状と大統領公邸の捜索令状の執行に向けた最終準備に入っている。 呉東運公捜処長は1日、令状について「6日までの有効期限内に執行する」と記者団に述べた。公捜処は警察と執行の時期や方法を協議。近く尹氏がいる公邸に出向き、身柄拘束に踏み切る方針。現職大統領の身柄拘束は初めてとなる。 尹氏は国会の弾劾訴追を受けて職務停止中だが、現職大統領としての警護を受けている。大統領警護処は、令状執行時には「警護措置」を講じると予告しており、公捜処と警察の立ち入りや尹氏の拘束の阻止に動く可能性がある。公捜処は警護処が妨害すれば、公務妨害などの容疑に問う方針を示している。 公邸前には、尹氏の弾劾訴追や令状発付に反発する尹氏の支持者らが大勢詰めかけており、捜査本部の要員らが立ち入ろうとする際、衝突に発展する懸念も出ている。 韓国メディアによると、尹氏は1日、弾劾反対デモのため公邸前に集まった支持者らに「私は皆さんとともにこの国を守るために最後まで戦う」と記した手紙を渡した。尹氏は手紙で「国内外の主権侵奪勢力や反国家勢力のうごめきで、今の韓国は危険だ」と指摘。動画投稿サイトのユーチューブの生中継でデモの様子を見守っているとも述べ、高齢層が多いデモ参加者の体調を気遣った。野党は支持者を扇動していると批判した。