結成38年目の"最遅"武道館公演を成し遂げたニューロティカのATSUSHIが語る「武道館は絶対味方 をしてくれる」
日本武道館開館60周年を記念して、武道館と同い年であり、結成38年目の2022年に史上"最遅"の武道館公演を行なったニューロティカのATSUSHI氏にインタビュー! 奇跡の武道館公演の舞台裏、そして結成40周年にあたる現在の活動について話を聞いた! 【写真】10月20日に還暦を迎えるATSUSHI氏 * * * ■借金覚悟の武道館公演 ――日本武道館公演の話が最初に来たときにはどんなことを思いましたか? ATSUSHI(以下、アツシ) 「何を言ってるの!?」というのが正直なところですね。Zepp Tokyoですら埋まらないのに。僕はバンドの経理もやっているし、計算から入っちゃうタイプなんで。ただ、僕以外のメンバーが「よし、やろう!」って士気が上がったんです。 その頃はコロナで何をやっていいかわからない時期だったし、これを止めたらもう終わりかなと思った。それだったら「俺が全部借金背負ってやりましょう」ということになりました。 ――当時ニューロティカはレーベルや事務所に所属していたんでしょうか? アツシ 吉本興業さんとタッグを組んでアルバムを出した後で、ちょうど契約満了したときに話が来たんです。なのでなんの後ろ盾もなかった。しかも話を聞いたらお金もすごくかかるらしくて。 ――普段のライブとは制作費も桁違いだった。 アツシ そうですね。何十倍もかかりました。でも、金額についての感覚はまひしてましたね。「まあいいや、借金で」と思ってました。 ■武道館の先輩たちからのメッセージ ――2010年代に怒髪天やフラワーカンパニーズなどのベテランバンドが武道館公演を成功させる流れもありましたが、そこに後押しされた感じもありましたか? アツシ 正直言うと、ウチは集客のレベルが一段下がるし、余裕は全然なかったです。1ヵ月くらい前までは「ヤバい」と思って毎日YouTubeで配信していたくらいで。すごいな、すてきだなと思っていたけれど、夢の世界という感じだった。うらやましい気持ちもなかったです。 ――周りのバンドやアーティストからのアドバイスはありましたか? アツシ できる限りの全バンドに聞きました。大槻ケンヂ、宮田和弥や、翔やん(氣志團・綾小路翔)や、いろんな仲間や先輩を呼んで「僕どうしたらいいの?」というタイトルをつけてYouTubeで対談して。LA-PPISCHのMAGUMIさん、アンジーの水戸(華之介)さんにも声をかけて。いろんな方と対談して武道館について聞きました。 ――その中で言われたことで覚えていることは? アツシ ほとんどの人が「武道館は絶対味方をしてくれる」って言ったんです。それは武道館のステージに立ってひと言しゃべったときに感じましたね。「あ、これか!」っていう。 ――どういう感覚でしょう? アツシ なんだろうなあ......。その日は(コロナ禍で)まだ声出しNGで、拍手だけだったんですけど、それでも「ああ、これが味方してくれるってことなのか」ってわかったんです。すごく優しかった。これはやっぱり武道館に立った人しかわかんないんじゃないですかね。