覚醒剤の購入、死亡前に「頼まれた」と元妻 紀州のドン・ファン裁判
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)を急性覚醒剤中毒にさせて殺害したとして、殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が8日、和歌山地裁であり、被告人質問が始まった。須藤被告は野崎さんが死亡する前月の2018年4月、現金20万円を渡され、覚醒剤を買ってくるよう頼まれたと述べた。 【写真】亡くなる前の資産家、その手をとる55歳年下の妻 須藤被告は9月の初公判で、「殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と起訴内容を否認。一方、検察側は冒頭陳述で、莫大(ばくだい)な遺産を狙って覚醒剤を使った「完全犯罪」を実行した、と主張していた。 被告人質問は、初公判以来、初めて被告本人が証言台で話す場となった。この日は、黒色のスーツ姿で出廷した須藤被告が、弁護側の質問に答える形で行われた。須藤被告が殺害を意図して覚醒剤を入手したものではないことを強調することで、野崎さんの死亡に関与していないと主張したとみられる。 須藤被告はネットで検索して密売人に連絡を取り、入手した物を野崎さんに渡したという。だが、翌日に野崎さんから「使い物にならん、偽物や。もうお前には頼まん」と言われたとも語った。
朝日新聞社