東洋証社長が総会当日に退任、株主信任得られず-常務再任も否決
(ブルームバーグ): 東洋証券は26日、桑原理哲社長が同日付で退任すると発表した。同日開催の株主総会での議決権の事前行使状況で、十分な信任が得られないとして、総会での取締役選任を辞退するとの申し出があったという。
東洋証は同日の総会での取締役候補の選任議案から桑原氏の再任案を撤回した。業績低迷を受け、株主からの圧力によってトップが退任を迫られた形だ。東洋証の株価はこの日、一時前日比14%高の445円まで上昇する場面もあった。終値は0.8%安の389円だった。
取引終了後には、会社側が提案した残る取締役候補7人のうち、櫻井歩常務執行役員の再任が否決されたと発表した。同時に新たに取締役に選任された営業企画部担当の小川憲洋執行役員が同日付で新社長に就くことも発表した。株主提案による取締役候補5人の選任は否決された。
総会当日に取締役再任案を撤回したのは、2022年にエレベーター大手フジテックの社長(当時)の例がある。香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが、ガバナンスに問題があるとして社長の再任案に反対するよう呼び掛けていた。
東洋証の株主総会を巡っては、株主であるサンシャイン F 号投資事業組合(業務執行組合員はUGSアセットマネジメント)が、株価純資産倍率(PBR)1倍以上を目指す計画の策定・開示を定款に盛り込むことや不動産事業からの撤退、独自の取締役候補の選任など6つの株主提案を行っていた。
株主提案の中では、東洋証の業績低迷を指摘した上で「現経営陣には、もはや株主価値の向上を期待することはできない」とも批判した。
一方、会社側は前期(24年3月期)業績は大幅に改善していると主張したほか、昨年10月に発表した中期経営計画の見直しやPBR1倍以上を達成するための具体的な経営計画を新たに作成するなどとして、中長期的な企業価値向上の取り組みを継続すると指摘。全ての株主提案に反対していた。