【帰省前に必読】通帳、骨董品、家族写真…将来の相続に備えて実家の大掃除で見つけておきたいモノ 高価な品があればすぐに家族で情報共有するのが鉄則
年末年始に実家に帰省するのであれば、相続問題について考えておきたい。家族が集まるこのタイミングで、実家の整理を進められると、相続をスムーズに進められる可能性もあるのだ。 【表】大掃除で見つけておきたい物・書類
預金額や証券、不動産や保険など財産の内訳は、話し合いの場だけですべて把握するのは難しい。 「そこで有効なのが、年末の大掃除です」と語るのは、ファイナンシャルプランナー(FP)の馬渡初代氏。大掃除にかこつけて、相続時に役立つ物を見つけておくと良いそうだ。 「優先順位が高いのは銀行の通帳です。親世代は預金1000万円までしか保証されないペイオフを気にしたり、若い頃に開設したまま複数の口座を保有しているケースが多い。 たとえ預金額が数百円の口座でも、親が死亡して口座が凍結されると名義変更には被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など書類の束が必要になり非常に煩雑です。まずは大掃除で親の口座を把握しておきましょう」 預金通帳を集め、銀行名、口座名、名義人などを記したメモを作成しておく。
大掃除では保険証券も確認する。 「保険契約内容や契約者、被保険者、受取人を確認します。複数の保険に加入している場合は保険証券を1冊のファイルにまとめておきましょう」(馬渡氏) 郵送物にも目を通しておくことが望ましい。相続専門の行政書士・中田多恵子氏が解説する。 「親が不動産を所有していれば、毎年5月頃に固定資産税納税通知書と課税資産明細が送られてきます。これらの書類を見れば、所有する不動産の資産価値の目安がわかります。後に相続が発生した時、売却の際に必要となる土地の権利書も集めておきたい」 税理士法人ブライト相続代表の天満亮氏は、祖父母世代の書類が残っているかどうか確認するべきだと言う。 「祖父の相続時に土地の登記や親戚の戸籍を集めていたり、家系図といった書類が残っていれば相続時に便利です」
高価な品を見つけたら
家に眠る骨董品や貴金属、高級腕時計などの価値の高そうな物が出てきたら、1か所に集めておこう。 「勝手に持ち出す人がいますが、論外です。後でバレると揉めるうえ、“信用できない”と遺産分割で不利になりかねない。 高価な物を見つけたら、家族につまびらかにするのが鉄則。相続を有利に進めていくためには、他の親族を出し抜くようなことはしないほうがいいでしょう。眠っている貴重品は率先して見つけて開示する。親、きょうだいから信用も得られます」(天満氏) 高齢者の多くがスマホを持つ時代だけに、デジタル資産の確認も忘れずに行ないたい。前出のFP・馬渡氏が言う。 「ネット銀行やネット証券、PayPayなどの電子マネーは死後に見過ごすことが多いので、大掃除の段階でIDとパスワードをまとめてメモしておきましょう」 大掃除で親の交友関係も見えてくる。 「年賀状を確認すれば親が付き合いのある友人、知人がわかります。これが葬儀の案内状送付リストを作る際に役に立つ」(馬渡氏)
写真も思いのほか重要だ。中田氏が言う。 「古い写真の整理をしながら、両親の新婚時代のエピソードや祖父母の話を聞いてみましょう。過去の歩みを振り返っていると、自然とこの先にも目が向くものです。相続の話もしやすくなる」 大掃除は財産を整理するだけでなく、家族の思い出を共有して相続と向き合う場でもあるのだ。 ※週刊ポスト2024年12月27日号