ハーレーダビッドソンと過ごした南アフリカ【1】
人口約5100万人が生活するアフリカ大陸最南端の国、南アフリカ。ここは大都会と大自然が共存するスケールの大きな国だ。「世界屈指の治安の悪い国」。そう呼ばれることも少なくない。しかし、「インターナショナルメディアは悪いところしか報道しない。危険なエリアもあるが、基本的には安全で住みやすい国だ」。現地の人はそう話してくれた。その言葉も信用できると思った。人懐っこい笑顔の人たちをみていると、「危険な国」という印象はどこにも感じさせなかった。
ハーレーダビッドソンにまたがり、南アフリカを縦断していくツアー。総走行距離は1500キロ超。1日目は首都ヨハネスブルクを出発し、保養地として人気のある街ダルストローム、そして野生動物に会えるクルーガー国立公園へと向かう。 起点となったヨハネスブルク中心部のホテル。エントランス前に並べられた9台のハーレーダビットソンの様相は、さすがに壮観だ。ホテルの女性スタッフが話しかけてくる。「どこまで乗っていくのですか?」、「ヨハネスブルグには戻ってくるのですか?」。一見、バイクに興味ないような華奢で大人しそうな雰囲気だが、9台並んだハーレーに、うっとりした様子で「Cool(かっこいいね)」と、つぶやく。やはりハーレーには、人を惹き付ける魔力のようなものがあるようだ。
ホテルを出発したのは午前8時ごろ。通勤時間と重なったこともあり、市内を走るハイウェイは、アフリカといえど、まずまずの交通量となる。ヨハネスブルクと近隣の都市プレトリアを合わせると700万人以上の都市圏となるだけあり、ハイウェイの風景は“テレビで見たことがある”アフリカのイメージを払拭させてくれる。ヨハネスブルクから2時間ほど走ったあたりから長閑な草原地帯が広がってくる。道路脇には、放牧されている牛たちがのんびりと草を食べている。さらに、そこから約1時間、走らせるところにあるのがダルストロームだ。ヨハネスブルグからの距離は約280キロ。ここは、都市部から少し離れた別荘地で富裕層に好まれる街だという。フライフィッシングのスポットとして有名で、都会の喧噪を離れ、ゆっくりした時間を楽しむことができる。日本に例えるなら、神奈川県葉山町と言ったところだろうか。 ダルストロームで小一時間ばかり、休息をとってからが、この日最大のみどころとなる。標高2000メートル級の山々、アップダウンが繰り返される道をハーレーダビッドソンはゆっくりと進んでいく。高低差があり大きなカーブが続いていく道。イメージしていたアフリカ大陸は「乾いた土と岩」、「平坦な道」だったが、ここは、緑の生い茂る山々がある。ときおり、日本の山中の道路を彷彿とさせるところもあるが、決定的に違うところは、トンネルが全くないところだ。聞くところ、南アフリカには数えるほどしかトンネルがないという。そのため、開放感に満たされ、大自然を感じさせてくれる。 ハイウェイではないが、ここでの法定最高速度は100キロを超えるところもある。ゆっくりとしっかりと、時には高速で走らせる。数々の山を超えて、たどり着いた場所はクルーガー国立公園。アフリカ有数の鳥獣保護地区でビッグファイブ(ライオン、ゾウ、バッファロー、ヒョウ、サイ)をはじめとする野生動物たちが、野生のままで生活している。
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