北京市内に掲揚された中国の国旗＝9月（三塚聖平撮影）

【北京＝三塚聖平】中国税関総署が14日発表した9月の貿易統計（ドル建て）によると、輸出は前年同月比2・4％増の3037億ドル（約45兆円）だった。6カ月連続でプラスを維持したものの、8月の8・7％増から伸び率が大幅に鈍化した。欧州連合（EU）など欧米との貿易摩擦が強まっており、中国の輸出に響き始めている可能性がある。 輸入は0・3％増2220億ドルだった。プラスは3カ月連続。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は817億ドルの黒字だった。中国では不動産不況を背景に内需が低迷しており輸入に勢いがない。これまで内需不足を輸出でカバーしてきており、輸出が鈍化すれば景気悪化につながりかねない。 税関総署幹部は14日の記者会見で「中国の貿易発展は幾つかの課題に直面している」と述べ、世界で保護貿易が激化していることなどを挙げた。 1～9月の累計では、輸出が前年同期比4・3％増、輸入が2・2％増。輸出と輸入を合わせた貿易総額は3・4％増だった。 同時期の国・地域別のデータを見ると、貿易総額はEUとは0・9％減、日本とが4・9％減だった一方で、米国とは2・3％増、東南アジア諸国連合（ASEAN）とは7・4％増だった。EUとの貿易を巡っては、EU加盟国が中国製電気自動車（EV）に対する追加関税を支持するなど摩擦が激化している。 ウクライナ侵略後も密接な経済・貿易関係を保っているロシアとの貿易総額は2％増だった。西側諸国による対露制裁で中国の銀行が二次制裁を懸念しており、中露貿易に影響していると指摘される。