スマホアプリで「運転代行」飲酒運転防止へ 期待の新サービス〈仙台市〉
仙台放送
忘年会のシーズンが近づき酒を飲む機会が増える時期になりました。そうしたなかでも絶対にしてはいけないのが飲酒運転です。飲酒運転を防ぐ新たなサービスが11月、宮城県内で始まりました。 2005年、多賀城市で飲酒運転の車が高校生の列に突っ込み3人が亡くなった事故をきっかけに宮城県は飲酒運転の根絶に取り組んでいますが、飲酒運転はいまだなくなりません。 今年、宮城県内では飲酒運転による交通事故が34件、それによりけがをした人は39人と去年より増えています。(今年10月末時点) 飲酒運転をする理由は様々のようですが、今年5月に仙台で起きた飲酒運転の事故で運転していた人物が話したのが、「運転代行を使うつもりだったが見つからなかった」というもの。 運転代行は酒を飲んだ人に代わって車を運転し自宅などへ送り届けるサービスです。飲酒運転をしないための一つの有効な手段ですが街の声を聞くと必ずしも利用しやすい状況ではないようです。 街の人 「電話して呼ぶというのが、ハードルがあるのかなと思う」 「来るのに時間がかかった。ちょうどピーク時のとき、少し困った」 Q.最長でどのくらい待った? 「1時間ちょっとくらい」 「コロナの前には代行がよく来ていた。仙台でも代行を見かけていた。田舎でも見かけていたが、今はあまり見かけない」 運転代行業者の数はコロナ渦による利用者の減少でその数を大きく減らし、現在まで減少が続いています。繁忙期や時間によっては代行の供給が間に合わず、客を待たせてしまうケースもあるといいます。 No.1代行 山口輔さん 「コロナで飲食店に規制がかけられ、外食産業が衰退したことは、私たちにとって大打撃、台数も減った。みなさん仕事が終わって飲んで帰る時間は大体一緒。その時に注文の電話が立て込んでしまう」 こうしたなか、11月から仙台で新しいサービスが始まりました。 Alpaca.Lab 棚原生磨代表取締役 「エアクルを使うと平均30秒くらいで代行業者と客がマッチングをして、平均9分くらいで客のもとに来ることができる」 これは沖縄の企業が開発した運転代行配車のスマートフォンアプリです。アプリ上で車の駐車位置を指定すると近くにいる運転代行と自動的にマッチングし、短時間で呼ぶことができます。これまで、沖縄や福岡など8つの地域で導入され、仙台は9地域目です。 Alpaca.Lab 棚原生磨代表取締役 「待ち時間、配車の手間暇の削減。今まで電話で何か所にもかけなければいけなかったのが、たった1タップで呼べてしまう」 配車までの流れはこうです。まず、利用者は地図上で自分の場所と目的地を指定します。距離に基づいて概算の料金が表示され、事前におおよその料金を確認してから代行運転を依頼します。すると近くにいる代行業者が自動的にマッチングされ、利用者のもとへ向かう仕組みです。 待機中、利用者は向かっている車の現在位置や到着までの残り時間をリアルタイムで確認できます。到着までこれまでの実績では平均9分。ドライバーが利用者の車を運転し目的地へと向かいます。運転代行の利便性が上がれば飲酒運転を減らすことが期待されます。 Alpaca.Lab 棚原生磨代表取締役 「コロナ渦明けで飲酒運転は減ったが、最近増えてきている。悲惨な事故も増えている。今までは飲酒運転の防止に教育と啓蒙と厳罰化という間接的な手段しかなかった。エアクルを推進することで直接的に飲酒運転が減っていく」 また、こんな狙いもあると言います。 Alpaca.Lab 棚原生磨代表取締役 「運転代行業の世界では料金が決められていないので、ドライバーが苦しんでいた。それをエアクルで解決することができる。1つの社会的課題が解決できると考えて、今取り組んでいる」 運転代行業界は料金設定が自由である一方、過度な価格競争で利益が出にくい状況があることから、このアプリは業界の課題を改善する利点も見込まれるといいます。 No.1代行 山口輔さん 「私たちも、お客さんも車がだいたい何分で到着するか、お客さんの自宅まで金額がいくらかかるのか、どのくらいの時間で帰れるというのがわかる。そこはすごくいいサービス。飲んだらエアクルをタップして、今近くに代行がある、どのくらいで来られるという風に習慣づくようになると、電話よりスムーズな対応ができる」 飲酒運転の根絶にはドライバー一人一人の意識が最も大切なのは言うまでもありませんが、この新しいサービスは飲酒運転をさせない環境作りという意味で一つの有効な手段になることが期待されます。
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