史上最高のSF映画は…? 一度は見たい空想科学映画の名作(1)10年前に自殺した妻が…巨匠が描く珠玉の一本
夜空を見上げると、美しい月や星が輝いている。手が届きそうなのに、多くの人がその場所に行くことはないと諦めている。しかし、子どもの頃に想像した世界に連れて行ってくれるのが映画だ。今回は、現実には起こりえないが、もしかすると宇宙の先には想像を超えた世界があるのではないかと思わせるSF映画を紹介する。今回は第1回。
『惑星ソラリス』
監督:アンドレイ・タルコフスキー 脚本:アンドレイ・タルコフスキー、フリードリッヒ・ガレンシュテイン 出演:ドナタス・バニオニス、ナタリヤ・ボンダルチュク、ユーリー・ヤルヴェト、アナトリー・ソロニーツィン、ソス・サルキシャン、ニコライ・グリニコ、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー、タマーラ・オゴロドニコヴァ、オーリガ・キズィローヴァ 【作品内容】 海と空に覆われ、生物の存在が確認されていない謎の惑星・ソラリス。その軌道上の宇宙ステーションが、ある日原因不明の混乱に陥り、通信が途絶えてしまう。原因究明のため、ソラリスへと向かう心理学者のクリス。 そこには、何者かに怯える科学者の姿と、彼の到着を待たずして自殺した友人の物理学者の姿があった。そしてクリスの目の前に、10年前に自殺した妻が姿を現すのだった…。 【注目ポイント】 本作は、SF作家・スタニスワフ・レムの代表作「ソラリスの陽のもとに」を実写化した作品。監督は『ノスタルジア』『鏡』で知られるロシアの名匠・アンドレイ・タルコフスキーで、本作で彼は第25回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した。 本作の注目は、なんといっても「ソラリス」だろう。人間の記憶にアクセスし、過去の幻影を投影するこの道具立てが、本作を単なるSF映画にとどまらない思弁的なドラマへと昇華している。 また、タルコフスキーならではの美麗な映像も印象的。水面にたゆたう水草や、日本の首都高で撮影された高速道路には、タルコフスキーの映像哲学が凝縮されている。映像を通して、人間とは何かを考え続けたタルコフスキー。彼の思索の跡が垣間見える珠玉の一本である。
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