自民総裁選 復興軸に9候補訴え 福島演説会 福島県内の課題解決に向け、輸入規制撤廃や財源確保など独自色
岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選の地方演説会は15日、福島市のウェディングエルティで開かれ、過去最多となる9人の候補者が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興をはじめ、山積する県内の課題の解決に向けた政策を訴えた。原発事故に伴う輸入規制の撤廃、中長期的な復興財源の確保、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の支援などにそれぞれの独自色を打ち出した。 福島第1原発の処理水の海洋放出による中国の輸入規制が続く中、小泉進次郎元環境相は「世界に福島の食の安全性をPRしたい。規制する中国の問題に果敢に取り組む」と訴えた。高市早苗経済安全保障担当相は「(中国が)『核汚染水』と(誤った表現を)平気で言っていた。(風評を防ぐために)国際機関に良い人材を送り込むことが大事」と強調した。 第2期復興・創生期間が来年度で完了し、その後の復興事業の規模が不確定となっている。林芳正官房長官は「(期間完了後も)第2期を上回る財源を確保し、復興を成し遂げる。特定帰還居住区域の設定も重点的に進める」と明言。茂木敏充幹事長も「予算をさらに確保し、廃炉を完了させる。最先端を感じられる福島をつくりたい」と意欲を表明した。上川陽子外相も「風評に苦しむ全ての産業が立ち上がれるよう2期後も国が先頭に立って復興に取り組む」との考えを示した。
課題となっている産業の復興や集積に向け、加藤勝信元官房長官は「昨年創設されたエフレイを応援し、地域の研究開発や産業の拠点としていかなくてはいけない」と力説。小林鷹之前経済安保相は「福島から世界と勝負できる産業をつくりたい。国内外から企業や研究機関を呼び込む」と言葉に力を込めた。 福島県は台風などで相次ぎ被害を受けている。防災省の創設に触れたのは石破茂元幹事長。「日本は世界一の災害大国。被災した自治体に事務をさせず、助けに行く体制を整えていく」と提唱した。農業振興に向け河野太郎デジタル相は農産物輸出の重要性を掲げ、「生産量を増やし、国内で消費できない分は海外へ持って行って稼ぐ」と述べた。