災害拠点水道耐震化27% 福島県内、財源不足で進まず 国交省点検 全国は39%
国土交通省は1日、1月の能登半島地震を受けて実施した全国の上下水道の緊急点検結果を公表した。福島県内の避難所や災害拠点病院、役場、警察署、消防署など重要建物に接続する水道管路の耐震化率は2023(令和5)年度末時点で27%となり、全国平均の39%を12ポイント下回った。損壊すると上下水道が機能不全になる導水管など「急所施設」の耐震化率も多くが全国平均を下回る実態が浮き彫りになった。耐震化が進まない背景には市町村の財源不足があり、県は水道管理の一体化や経営統合などに向けた支援を促す。 県内の上下水道の耐震化状況は【図・表】の通り。猪苗代町の上水道事業、南相馬と西会津の2市町の簡易水道事業の重要建物に接続する水道管路の耐震化率は0%だった。一方、福島、郡山、いわきの各市など都市部で耐震化率が高い傾向を示した。 県平均が全国より低い要因として県は、市町村や各組合が地震などの際に地域全体への影響が大きい導水管や送水管などの耐震化を優先して進めてきたことがあるとみている。自治体間の格差については、町村は財政規模が小さい上、技術職員が少ないことも多く、都市部よりも耐震化が進まない要因という。人口減による水道利用料の減収も耐震化費用の確保を困難にしている。
耐震化対象の水道管路延長が県内最長383キロに及ぶ本宮市の担当者は「費用の工面が大変で今年度も作業を進めている。耐震化率は1%上がるかどうかだ」と実情を語り、国による補助拡充を訴えた。 県は耐震化率を向上させるには水道事業の広域化が必要と捉えるが、福島県は面積が広く、水道関連施設の事業統合はハードルが高いとみている。県食品生活衛生課は「まずは水質検査や管理委託を共同で実施するなど維持管理の効率化に向けた連携を後押ししたい」としている。 「急所施設」には導水管や浄水施設など8種類あり、このうち、取水施設の耐震化率は6%で、全国平均を40%も下回った。 一方、耐震化が迅速に進まない中、県や市町村は災害時に備え、給水車の確保や自衛隊との連携強化など重要建物に水を供給するための備えも並行して進めている。