【できないは99%ウソ】「結果を出す人」の悩み処理速度が異常に速い理由
これまで「悩み解決本」の著者といえば僧侶、コンサルタント、臨床心理士などが多かった。だが、今、現役バリバリの経営者の「悩み解消本」が話題となっている。それが『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』(木下勝寿著)だ。本書を「『飛び抜けて面白い必読の一冊。心から「買い」!!」と絶賛しているのが、今年創刊20年を迎えた「ビジネスブックマラソン」の土井英司編集長。今回は3万冊を読んできたビジネス書の目利きが本書の読みどころについて特別寄稿した(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)。 ● 悩みを「消す」3つの考え方 第1回目の記事では、「経営者・起業家の悩みは論理的に消すのがいい」という話をした。 第2回目の今回は、具体的にどうすれば悩みが消えるのか、そのメソッドを紹介したい。 話題の『「悩まない人」の考え方』では、問題に対処する際の3つの方法が紹介されている。3つの方法とは、ズバリこれだ。 (1)問題そのものを解決する (2)問題を問題でなくする (3)問題を「具体的な課題」に昇華させる (1)はいわば正攻法だが、「悩まない」人は、ほとんどの場合、「(2)問題を問題でなくする」や「(3)問題を『具体的な課題』に昇華させる」といった対処法を取る。これは、問題を「解決」するというより、問題を「解消」するやり方だ。 ● 経営者に必要なのはどっち?「仮説思考」か「論点思考」か? 元ボストン コンサルティング グループの日本代表で、ベストセラー『仮説思考』や『論点思考』で知られる内田和成さんが、以前、私にこんな話をしてくれた。 「『仮説思考』は、いかに問題を速く解決するかという思考で、『論点思考』は、そもそもそれは解くべき問題なのかを問う思考。経営者にとって大事なのは、後者なんです」 『論点思考』には、こんな記述がある。 仕事で大事なことは問題を解決することであるのはいうまでもないが、それは正しい問題を解いている場合にかぎるという前提がつく 行き詰まったときは、まず「(2)問題を問題でなくする」ことができないかを問う。それができなければ、「(3)問題を『具体的な課題』に昇華させる」に移ればいい。 ● 次の一手が見つかっても うまくいかない時の対処法 『「悩まない人」の考え方』で、著者はこう書いている。 「やるべきこと」がはっきりしている問題を「課題」と呼ぶ。問題が悩みを生み出す一因は、取り組むべき「次の一手」が見つからないことにある。 ただ、次の一手が見つかったとして、「うまくいかない」というケースもあるだろう。 そういうときは、本書84ページ「できるだけ早く『9回』失敗しよう。」を読むといい。 ここでは、新しい種類の家電を買うときの、著者からのアドバイスが載っている。 いろんな考え方があるだろうが、著者の場合、「最初はいちばん安いものを買う」と決めているそうだ。 著者は、こう書いている。 「悩まない人」ほど「たぶん最初は失敗するだろう」と考えながら臨む。(中略)逆に、悩む人は「絶対に思いどおりにいかせよう! 絶対に失敗を避けよう!!」と考えるクセがある。がんばれば失敗を避けられると思っているので、思いどおりにいかなかったときに必要以上に落胆する。 ● 10回以降は毎回成功する 「10回に1回の法則」とは? できる起業家の思考は、著者も書いている「10回に1回の法則」である。 人が何かに本気でトライした場合、最初の9回は必ず失敗し、最後の10回目で必ず成功する。ただし、10回目以降は、毎回成功するのである。 さっさと失敗し、「9種類の失敗パターンを学ぼう」という提案は、起業で悩む多くの読者に刺さるメッセージだろう。 ● 結果を出せない人の考え方・ワースト1 とはいえ、やり方がわからなくて悩む人もいるかもしれない。 本書では、そんな人に対するアドバイスも提示している。 やり方がわからないときの「やり方」はこうだ。 (1)すでにできている人を探す (2)その人ができている理由を明らかにする (3)わかった方法をそのまま実行する ここまで提示しても、「自分にはできない」と思う人がいるかもしれない。 著者によると、この「できない」「実現不可能」は、99%がウソなのだそうだ。 著者の言葉を引用すると、<彼らは「やる/やらない」という世界観ではなく、「できる/できない」という世界観に閉じこもっているので「自分はできない」と考え、しばしば深い悩みに陥る>のである。 ● 結果を出す人は、調査する人であり、計画する人 結果を出す人の考え方は、この逆だ。 「やる/やらない」の軸で生きればいい。 そうすれば自信は問題にならず、調査や計画が大事になる。 結果を出す人は、調査する人であり、計画する人なのである。 ● 調べるだけで9割の問題は解消する 「調査」という言葉が出たので、最後に一つ、調査に関して書かれた部分を紹介しよう。 本書290ページの「『ググれば解消する悩み』をウジウジ考え込んでいないか」という見出しがある項目の中から、重要なポイントをピックアップしてみよう。 著者がいうには、世の中の物事は次の3つのどれかである。 (1)考えたらわかること (2)考えただけではわからないが、調べたらわかること (3)考えただけではわからないし、調べてもわからないこと 「考える」と「調べる」で、3つのうち2つは解決できることがわかる。 著者の言うとおり、「考えても調べてもわからないこと」は、現代においてはかなり少ないので、調べるだけで、ほとんどの問題は、具体的な課題に姿を変えるのである。 ここまで読んだら、ほとんどの読者の悩みは消えたのではないだろうか? 次回の最終回は、私がこれまで読んだビジネス書のうち、経営者・ビジネスパーソンの悩みを消してくれる名著をまとめて紹介しよう。 (本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』に関連した書き下ろしです)
木下勝寿