日銀が国債購入の減額方針を決定…植田総裁「長期金利の自由な形成を促進していく」
日本銀行は14日の金融政策決定会合で、月6兆円程度としている国債の買い入れ額を減らす方針を決めた。次回7月に開く決定会合で、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定し、国債保有残高を減らしていく「量的引き締め」に踏み込む。植田和男総裁は決定会合後の記者会見で、減額について「相応の規模」と説明した。 【図表】日経平均株価、このように推移している
日銀は7月の決定会合までは、現在の買い入れ規模を維持する。植田氏は減額を決めた理由について、「金融市場における長期金利の自由な形成を促進していく」と説明。減額計画の策定にあたり、「債券市場参加者会合」を開き、金融機関から国債買い入れの運営について丁寧に意見を聞くとした。
日銀の国債保有残高は2023年末時点で581兆円、保有比率は発行残高の5割強に達している。今回の減額方針の決定で、金融政策の正常化がさらに進むことになる。
日銀は13年4月に量的・質的金融緩和を開始して以降、長期金利を低く抑えるために国債を大量に買い入れてきた。今年3月の決定会合では、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃を決めて長期金利の操作をやめたが、急激な金利変動を防ぐための措置として買い入れを継続し、規模は3月と同規模を維持してきた。
政策金利である短期金利の誘導目標は、現行の0~0・1%に据え置いた。
前回4月の決定会合後の会見では、植田氏の発言が「円安容認」と受け取られ、円安・ドル高が進んだ経緯がある。今回の会見で植田氏は「円安の動きは物価の上振れ要因になる。政策運営上、十分に注視している」と強調した。
日本銀行の植田和男総裁の記者会見の要旨は次の通り。
【長期国債の買い入れ】
長期金利がより自由な形で形成されるように買い入れ額を減額していく方針を賛成多数で決定した。市場参加者の意見を確認し、7月の次回会合で今後の1~2年程度の具体的な減額計画を決定する。日銀の保有残高は償還に伴い減少していくが、買い入れによる緩和効果は引き続き作用する。