阪神・藤浪が82日ぶり復帰で7四死球大荒れ3失点も2軍Uターンは回避
京セラドームを去る際、「すいません、今日は……」とだけしか口にできなかった。 広報の補足によると、降板後、すぐに「チームにも(当ててしまった)相手のバッターにも申し訳ありませんでした」というコメントを残していたという。 ファームで10試合に投げ、ミニキャンプも張った。調整の一環として中継ぎ登板も経験した。 掛布2軍監督からは「思い切り、おまえが大好きな野球をやってこい!」と1軍へ送り出された。だが、2か月半のファームでの日々はすぐには結果につながらなかった。藤浪の自分への失望はわからないでもない。 2軍落ち前の藤浪と何も変わっていないのではないか、という厳しい見方もあるが、試合後、金本監督は、「藤浪はボールはまずまずスピードが出ていて、変化球もカウントが取れていた。試合を壊したわけではない」と、ジキルとハイドの、ハイドの部分を評価した。そして、次回登板については、「投手コーチが決める」と答え、香田投手コーチは、「ボールに力はあった」と、このままローテに残して先発チャンスを与える考えを明らかにした。復帰1試合での2軍Uターンは回避した。 元阪神の評論家の池田親興さんは、「何も変わっていない、という意見があるかもしれないが、シーズン中の短い期間に、劇的に何かを変えることは難しい。藤浪くらいの力があれば、1軍でも2軍でも同じようなピッチングをするのだが、今日は相当のプレッシャーがあったのだろう。できるならば藤浪を信頼して5回を投げきらせるべきだったと思う。変化球が右打者に向かって抜けてデッドボールになるのは、当ててはダメだと、外を狙うあまりに、傾斜に向かうステップ方向に頭が傾き、逆に腕が体から離れるという技術的な問題が起きるから。それが起きるのは、心理的なもの。当ててはダメだというストレスだ。そのストレスはローテを守り1軍で投げている中でチーム全体で取り払ってやる必要があると思う」という見方をしていた。 変わった藤浪を披露するのは、これから。ファームで過ごした81日間は決して無駄ではないはずである。