私立恵比寿中学 小林歌穂&中山莉子、ふたりで乗り越えた“カホリコ”の10年 出会いから辿る変化と成長の軌跡
私立恵比寿中学(以下、えびちゅう)に、小林歌穂と中山莉子の中学1年生コンビが“転入”してから10年の月日が経った。えびちゅうの活動を通して大人へと成長し、今ではお姉さんメンバーとして後輩を支える立場になっている“カホリコ”。9月14日には、10周年を祝うスペシャルライブ『カホリコ加入10周年ライブ「それみろ!カホリコ~レンコンと天丼から10年~」』も開催される。 【画像】私立恵比寿中学 小林歌穂&中山莉子 撮り下ろし写真一覧 そこでふたりに、えびちゅう加入からの10年間を振り返ってもらうインタビューを行った。すると誰よりもお互いを信頼し、一緒に傷つき、一緒に成長し、一緒に大人になっていったふたりの10年間変わらない“特別な絆”が浮かび上がってきた。(編集部) ■「細胞レベルで近づいてる運命共同体みたい」(小林) ーーおふたりの最初の出会いを覚えていますか? 小林歌穂(以下、小林):覚えてます。小学6年生の時、ダンスレッスンの集合場所に行った時に初めてちゃんとお互いを認識しました。莉子ちゃんは人の後ろに隠れるようにしていて、どことなくパヤパヤしていたので赤ちゃんみたいだなって(笑)。最初は私より年下だと思っていたんですけど、同い年だということが衝撃でした。 中山莉子(以下、中山):歌穂ちゃんは短パンに半袖を着ておかっぱでした。オレンジとか黄色が似合いそうな、笑顔を絶やさないような女の子だった。自分とは真逆のすごく元気な子がいると思いましたし、私も同い年ということに驚きました。 ーーえびちゅうに加入する前から仲は良かったんですか? 中山:チーム大王イカという期間限定ユニットをやらせてもらっていた時からずっと仲良かったです。 小林:同い年が3人いたので、そのメンバーでよく肩車とかして遊んでた(笑)。わりとすぐに意気投合というか、波長が合うなって思ってました。 ーーおふたりが“カホリコ”としてえびちゅうに加入してから10年が経ちました。あらためてどんな10年間でしたか? 小林:私は、すごくあっという間でした。グループ名に“中学”と入っているから、学生の感覚のまま大人になっている感じもあって(笑)。もう10年も経っていたんだ、と思いますね。 中山:私も、同じ気持ちです。でも、一年一年を振り返ってみたら本当にいろんな出来事が起こっていたので、短いような長いような……。えびちゅう自体は15周年ですけど、カホリコだったからこそ10年を乗り越えてこれたなと思います。やっぱり同期の存在はすごく心強いですし、とてもありがたいですね。 ーーお互いに悩みを相談することもできそうですね。 小林:この10年間、悩んでる内容やタイミングが全部一緒なんです。今こういうことで悩んでるんだよねって相談すると、「私もわかる」ってなることが多くて。最近も考えていることが重なる瞬間があって、細胞レベルで近づいてるというか、運命共同体みたいだなって(笑)。そういう時は「私だけじゃなかったんだ」と気持ちが軽くなりますし、じゃあふたりで頑張っていこうって励ましあえるんです。 中山:去年の春ツアー(『私立恵比寿中学 spring tour 2023~100%ebism~』)の千穐楽前日がオフだったんですけど、急に水があるところに行きたくなったんです。それで歌穂ちゃんに連絡したら、「私もそう思ってた」と返事があって(笑)。あの時は本当にびっくりした。 小林:ふたりで等々力渓谷に行って、水を見たよね(笑)。 中山:明日ツアーファイナルだねって。 小林:昼から花火してね。 中山:やっぱり同期だからこそ言えることがたくさんあると思います。これはお姉さんたち(先輩メンバー)に相談することでもないなと思った時に、遠慮なく話すことができます。 ーーお互いにアドバイスしあうこともありますか? 小林:莉子ちゃんは、私が悩んだことに対して的確に本質を言ってくれます。その言葉にハッとすることがすごく多くて。私はナヨナヨしてるから、あっちもいいけど、こっちもいいかも? みたいになることが多いので、的確なアドバイスができているかはわからないんですけど(笑)。 中山:歌穂ちゃんは優しく聞いてくれますし、ちゃんとアドバイスもしてくれます。私は悩みを聞いてくれるだけでもすごく嬉しいです。それこそ小さい頃から家族にも相談事をあまり言えないタイプだったので、そういうことを素直に言える存在が、歌穂ちゃんだと思います。 ーーおふたりの絆を感じますね。では、この10年でのおふたりにとってのターニングポイントを教えてください。 小林:2017年にリリースした『エビクラシー』は、私はもちろん、えびちゅうにとって大きなポイントになっている作品だと思います。メンバーそれぞれのフィーチャー曲が収録されているのですが、その時に出せた個性が今にも繋がっていると思いますし、このアルバムでみんな覚醒しました。 ーー小林さんのフィーチャー曲は「感情電車」です。 小林:私はもともと芯のある声に憧れていたんです。Superflyさんのように大きな声量で歌い上げる系というか。そういう理想の歌声を目指してがむしゃらに歌っていたんですけど、『エビクラシー』の一つ前のアルバム(『穴空』)に収録されている「ポップコーントーン」から、「歌穂はこっちの歌い方が合うんだよ」とボイトレの先生から指導をいただいて。そこからだんだんシフトチェンジして、「感情電車」でそのニュアンスを思い切り出せるようになりました。この曲がなかったらまだ自分には合っていない歌い方をしていたかもしれないですし、自分の持っているものの良さに気が付かずに活動を続けていたかもしれないので、「感情電車」に出会えて本当によかったです。 ーー中山さんも小林さんの歌声の変化は感じていましたか? 中山:感じていました。ほんわかとした、聴いてるだけで落ち着くような優しい歌声は歌穂ちゃんにしか出せないものですし、えびちゅうの歌の中でもすごくいい味になっています。 小林:(にやけるのを堪える表情) ーー嬉しそうですね。 小林:嬉しいです(笑)。 ーー中山さんは「制服“報連相”ファンク」ですね。 中山:私も『エビクラシー』が出た頃から変わったと思っていて。加入して3年が経った頃、“カホリコ”のイメージではなく、個々に自分をアピールしていくにはどうしたらいいかと悩んでいた時期に、ちょうどそれぞれが輝ける楽曲をいただけました。その当時、スタッフさんから言われた「最年少だから若さでみんなを引っ張っていって!」という言葉がずっと心の中に残っていたんですけど、そういうフレッシュさやエネルギーを出せるのが「制服“報連相”ファンク」だったんです。 ーー楽曲をもらった当時のことを覚えていますか? 中山:私は歌うことが苦手だったので、どんな曲をいただけるのか、すごく不安だった記憶がありますね。初めて「制服“報連相”ファンク」を聴いた時は、バラード調の曲をもらっているメンバーもいたのに「私はすごい叫んでる!」と思って(笑)。最初はどうなるんだろうと思ったんですけど、私が今“えびちゅうのエンジン”と呼ばれるようになれたのは、この曲との出会いが大きいと思います。 ■えびちゅうの活動を通して“自分”を知っていった10年間 ーーえびちゅうの活動をする中で、ご自身に変化を与えるような出会いはありましたか? 小林:様々な方に楽曲提供していただくようになってから、好きなアーティストさんが見つかりました。特に衝撃だったのがチャランポランタンさんです。「吟遊詩人」という曲を書いてもらった時に、チャランポランタンさんの曲を聴くようになって、私の中の新しい扉が開きました。ダークめな曲が多いんですけど、私はこういう音楽も好きだったんだって新しい発見がありました。 ーー好きなアーティストが増えて自分という人間がわかってきた。 小林:そうです。小中学生くらいまで、私は自分のことを陽キャの部類に入っていると思っていたんです(笑)。だけど、だんだんと自分を知るようになってからは「私、陽キャじゃない」と思うようになって、今の自分に気づきました。 中山:私はボイトレやダンスの先生かな。身近な存在ですし、えびちゅうを愛してくれているからこそ厳しく指導してくださるので。私は加入当時から歌が本当に苦手で。だけど、ボイトレの先生が私に合った歌い方を教えてくれて、私の歌を否定しないでちゃんと認めてくれたんです。歌えていないけど、「あなたは天才だよ」って言ってくれるのがすごく嬉しくて(笑)。苦手でもちゃんと真面目に取り組もうと思えたのは、やっぱりえびちゅうを愛してくれる方々の言葉だったからだと思います。 小林:本当に愛を感じます。先生たちも熱くなって、涙を流しながら私たちと向き合ってくれる時もあれば、厳しいことを言ってくれる時もあって。怖い時もあるけど(笑)、その愛情にはすごく感謝しています。 ーーちなみに、中山さんは小林さんのように自分の新しい一面を見つけた経験はありますか? 中山:それこそライブで“野生の中山”って呼ばれるとは思ってなかったです(笑)。可愛いのがアイドルだと思っていたので、まさか真逆を行くとは思ってなかった。 小林:野獣系。 中山:野獣系のアイドルもいたんだって。 ーー自分の中でもしっくりきていますか? 中山:しっくりきてます。自分が輝けるのはそこだって(笑)。 ーーでは、お互いこの10年間で変わってきたな、成長したなと思うところはありますか? 小林:私と莉子ちゃんの性格がちょっとずつ逆転したな、と思います。最初に出会った時の莉子ちゃんは、シャイで誰かの後ろに隠れていて、あまり自分からガツガツ行くタイプではなくて、私はどちらかというと「莉子ちゃん! 莉子ちゃん!」と近づいていくタイプでした(笑)。 ーー陽キャ時代ですね。 小林:陽キャだと思い込んでいた時代はそうだったんですけど、今は自分でも「人見知りなのかな?」と思うようになったり、初対面の方には様子見することもあって、ちょっと引っ込み思案になることが増えました。逆に莉子ちゃんはどんどん積極的になってると思います。 ーー中山さんもそう思いますか? 中山:確かにそうですね。すごく元気だし、いろんな人に話しかけるし、最初に出会った頃は私と真逆の人間だと感じていたんですけど、まさかここまで家から出ない子だったとは(笑)。ずっと太陽の下にいるような子だと思ってました。 小林:私も自分のことをそうだと思ってたんだけど、違った(笑)。 中山:あと歌穂ちゃんは、妹ちゃんたち(後輩メンバー)が加入してから積極的に発言するようになったと思います。昔は自分が思っていることがあっても、みんなに言うというよりもぼそっと呟いてることが多かった(笑)。 ーー後輩が入って意識が変わりましたか? 小林:変わりました。後輩が入ってくる前は、ずっと時が止まっているような感覚だったんですけど、入ってきてからは「あ、私たち大人になってたんだ」「しっかりしないといけないんだ」みたいに思うようになって。後輩も高校生なので、私が教えられることは自分からちゃんと伝えるようになりました。 ーー中山さんは小林さんのそういった一面が見られると思っていましたか? 中山:思わなかったです。6人で活動していた時は、何か思ったことがあってもみんなには言わずーー。 小林:莉子ちゃんに言ってた(笑)。 中山:それもメールで(笑)。ここまではっきり言えるようになって、すごく頼もしいなって思いましたね。 小林:恐縮です(笑)!