「御社の○○さんから教えていただいたのですが…」ビジネスでキーマンの心を鷲掴みにする魔法のフレーズ
相手の信頼を得るにはどうしたらいいか。らしさラボ代表の伊庭正康さんは「お客様が知らないものの、お客様にとって関心のある情報を持っておくことで、お客様から感謝される会話ができるようになる。管理職や経営者からは、お客様の『現場』の情報を知っているとかなり喜ばれる。現場のことに関心のないキーマンはいない。やらない手はないだろう」という――。 【図表】最短で信頼を得る2つのシナリオ ※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。 ■「商品のよさだけで契約、営業への信頼で契約」の大きな違い 私が、営業を始めたばかりのこと。 トップセールスだった上司から教わったことがあります。 「商品のよさだけで契約したお客様は、他社がいい商品を提供すれば、縁が切れる。値段の安さで契約したお客様は、他社が安い商品を提供すれば、縁が切れる。しかし、営業への信頼で契約してくださるお客様は、何があっても縁は切れない」 本当にその通りだと、しみじみ思います。 私が通うクリニックで実際に見たシーンを紹介します。 待合室で待っていると、製薬会社の営業(MR)が院長にこんなことを言われていました。 この営業さんは「何でつながっている」のかを想像してみてください。 ---------- 院長「薬の在庫がないのはわかるけど、在庫がないからムリです、と言われてしまうと、コチラとしては困る。申し訳ないけど、他の製薬会社さんにお願いすることにした。これからは、この薬だけ、お願いすることにしますね」 営業「すみません……」 ---------- いかがでしょう。 何でつながっていると思いましたか。簡単ですよね。そうです。 「商品のよさでつながっている」関係です。 商品が途切れたと同時に、縁も切れる、まさにそんなシーンでした。
■今できることを精一杯する では、どうすればよかったのか。 今できることを精一杯する、が正解です。 在庫がなくても「今、用意できる薬を提示する」ことをしなければなりません。 実は、製薬業界では、薬の在庫がなくなることはよくあること。 もちろん、それだけでは足りません。 「今は代用でしのぎながらも、このタイミングではこの個数を確保できるように折衝します。進捗があり次第、報告します」と、対症療法だけではなく、本質的な対処を詰めておく必要はあります。 このように、できる限りのことをするからこそ、「頼りになる」と思われるのです。 さらに言うと、お客様が期待していたより早く、解決することができれば完璧です。 約束に甘えずに、期待を超えるよう心掛けてみてください。 「頼りになる」と思われるはずです。 もしそれができなければ、進捗を報告することも有効です。 「他の部署にも確認を入れております。また進捗があれば報告いたします」と。 どうでしょう。 あなたは、ここまでやっていますか。 トップセールスは、間違いなくやっています。 「私の気持ちを言わずともわかってくれる……」 「常に、私の視点で考えてくれる……」 つまり、「本気でやってくれている」、 そう思われることこそが、信頼でつながる営業なのです。 ■「自分が何をすれば信頼を得られるか」を考えるシナリオ 営業経験が浅い人はもちろん、担当を引き継いだ際は、なかなか信頼されにくいことが多いものです。 だからこそ、知っておくべき法則があります。 「ジョハリの窓」で考える、です。 ジョハリの窓とは、「相手が知っていること」「自分が知っていること」で整理したマトリクスのことです。 このジョハリの窓を意識した行動をとることで、自分が何をすれば信頼を得られるかを考えやすくなります。 次の図をご覧ください。 これが、お客様とあなた(営業)のジョハリの窓です。 信頼を得るためには、お互いが知っている「解放の窓」で会話する関係を目指しましょう。