【鶏肉刀削麺】あまりにもかっこいい外観に惹かれて入った店の絶品中華ランチ:パリッコ『今週のハマりメシ』第121回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【画像】チャーハンに鶏肉でグレードアップ それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * 久々に神奈川県相模原市にある妻の実家に帰省した。行程は2泊3日。ただし3日間とも平日なので、ふだんから計画性のない僕は、やらなければいけない仕事をたっぷりと残し抱えていた。そこで中日の1日、娘の世話は妻と祖父母にまかせ、僕は仕事をさせてもらうことに。ありがたいことだ。 いつもと違う環境が良かったのだろうか、午前中から何本かの原稿をわりと快調に書き上げ、昼過ぎ。せっかくのなじみのない土地なので、ひとり駅前まで出て、昼メシでも食べてみたいところだ。家からはいくつかの駅が利用できるらしいが、そのなかでも街の規模が大きいイメージのある、相模大野駅へ向かってみることにした。 改札前の広場から周囲を見渡す。西側は大きなアーケード商店街を中心に栄えていて、東側は少し落ち着きつつも、おもしろそうな個人店がちらほらとあるイメージ。さすが大きな街だけあって、興味深い店が次々見つかる。 なかでも特に気になったのが、数人の行列ができていたので人気店なのであろう、「鈴木ラーメン店」という店。その壁にどーんと掲げられた「背脂煮干」なるラーメンが、あまりにもうまそうすぎる。 ラーメン業界にそんなに詳しいほうではないので、背脂と煮干という組み合わせにまず興味があるし、ぶっとい麺や巨大チャーシューのインパクトもすごい。それに、いやらしい話、この連載で写真つきで紹介するのにも受けが良さそうだ。 僕はふだん、欲望のおもむくままに飲食店に入り、その体験を素直に記事にすることを信条にしているものの、それでも頭のなかの数%くらいは、ついついそんなことも考えてしまうことを許してほしい。 ただし、念のため見落としたエリアがないよう、くまなく街の様子は見ておきたい。鈴木ラーメンでほぼ決まりだなと思いつつも、もう少しだけしつこく街を歩いてみよう。するとすぐに、あまりにもかっこいい中華料理屋を見つけてしまって、正直困った。 角ばった黄色いひさしに「中華料理」の文字。それが味わい深い建物に食い込んでいる感じ。かっこいい。かっこよすぎる......。店名は「菜香園」。鈴木ラーメンの背脂煮干がうまいことは、きっと間違いないだろう。対してこの店は、いわゆる大陸系の中華料理屋らしいから、なんとなく出てくる料理の想像ができもする。しかし、自分の心に正直に入ってみたいのは、扉をくぐってみたいのはどちらの店か? 今日、入らなくて後悔するのはどちらの店か? ......週プレNEWS編集部のみなさん、そして鈴木ラーメンを期待してくださった読者のみなさん、すいません。僕、菜香園に入ります!
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