高速道路の謎! インターチェンジ間の「距離」がバラバラな理由とは?
県境を越える長距離区間の実態
逆に、IC間の距離が長い区間の代表例として、以下のものがある。 ・関越自動車道(関越道):水上IC~湯沢IC(25.9km) ・中国自動車道(中国道):東城IC~庄原IC(30.2km) ・九州自動車道(九州道):八代JCT~人吉IC(37.4km) これらの区間では、IC間の距離が30km以上離れていることがあり、次のICまでが遠く感じることが多い。 関越道や九州道の区間は県境に位置し、中国道も含めて山岳地帯を越えるエリアになっている。このため、主要な市街地や観光スポットが少なく、ICを設置する必要があまりないのだ。 長い区間を走る際に気になるのはトイレの問題や急に襲ってくる眠気だが、こうした区間にはサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が2箇所設置されているので、安心して走行できる。 ただし、IC間が長い区間では、トラブルが発生したり、降りる予定のICを通り過ぎてしまうと、通常より対処が難しくなるため、十分に注意が必要だ。
カギはスマートICとJCT
IC間の距離が長い区間は、年々減ってきている。その理由のひとつが、SAやバスストップに併設されたETC専用のスマートICの普及だ。 スマートICは地域の生活を豊かにし、経済を活性化するために導入されている。また、日本の高速道路のIC間の平均距離は世界平均と比べて長く(日本は約10km、世界平均は約5km)、既存のネットワークをより効率的に活用する狙いもある。 初めてスマートICが導入されたのは2004(平成16)年10月で、東名高速道路の上郷SA(現在の豊田上郷SA)で社会実験として始まった。2006年10月から本格運用が開始され、効果が高かったことから全国に広がり、2026年9月時点で全国に160か所のスマートICが運用されている。 スマートICのメリットは、通常のICに比べて設置や維持費が安いこと。通常のICの設置費用は30~60億円、年間維持費は1.2億円だが、スマートICは設置費が3~8億円、年間維持費は0.5億円と、コストが10分の1程度に抑えられる。これにより、今までICから遠かった地域にもアクセスしやすくなり、今後さらにスマートICの設置が進むことが期待されている。 さらに、高速道路のネットワークが急速に発展しており、新たなJCTの増加もIC間の距離が短くなっている要因のひとつだ。JCTは一般道に降りることはできないが、新設されたJCTが案内看板に追加されることで、次のICやJCTまでの距離が明確になり、ドライバーにとって安心感が生まれるという利点がある。
都野塚也(ドライブライター)