ジビエ利用が過去最大 23年度 外食好調で3割増
2023年度のジビエ(野生鳥獣の肉)の利用量が前年度から31%(644トン)増え、過去最大の2729トンだったことが農水省の調べで分かった。そのうち6割が食肉、3割がペットフードとして販売された。同省は、新型コロナウイルス感染症の流行が収束し、外食産業向けに「在庫が放出された」(鳥獣対策・農村環境課)と増加の要因を分析する。 全国772の食肉処理施設が、食肉として1731トン(前年度比30%増)、ペットフードとして866トン(同30%増)を販売した。その他、自家消費向けの食肉と解体処理のみの請負が合わせて132トンに上る。 鳥獣種別の利用量は、鹿が2088トン(同36%増)、イノシシが602トン(同13%増)だった。一方、解体頭数は鹿が12万1117頭(同11%増)、イノシシが3万9918頭(同11%増)で、鹿肉の利用量の伸び率は解体頭数の伸び率の3倍超を記録した。 鹿肉はイノシシ肉に比べて脂質が少なく、ペットフードへの加工に向いているため、同省は「ペットフードの需要増加が影響したのではないか」(同)とみる。 野生鳥獣全体の解体頭・羽数は18万2627頭・羽(同16%増)で過去最多となった。販売価格は、鹿肉が1キロ当たり2171円、イノシシ肉が同3214円だった。 農水省は、25年度までにジビエの利用量を19年度(2008トン)の2倍に相当する4000トンに増やす目標を掲げている。23年度は19年度比で1・4倍。 (岸康佑)
日本農業新聞